むすぶひと、つなぐひと

中部地域の注目パーソンにインタビュー!

ほかにはない食感の
看板商品「QUONテリーヌ」
久遠(くおん)チョコレート
代表 夏目浩次
(3/4)

October 21. 2024(Mon.)

余計な油を加えないピュアチョコレートをベースに上質な食材、各地の名産をかけ合わせたチョコレートで人気の「久遠チョコレート」。2014年の設立からわずか10年で全国60拠点のブランドへと成長させたのが、代表の夏目浩次(なつめひろつぐ)さんだ。
現代に生きづらさを抱える障がい者やひきこもり歴のある人たち、子育て中のママさんなどを積極的に雇用し、「凸凹ある誰もが活躍し、稼げる社会」を目標に掲げた経営をおこなう。その唯一無二のチョコレートづくりは、大きな話題を集めている。

第3回目の今回は、夏目さんが手掛ける久遠チョコレートの商品の魅力に迫った。

ー前回までの記事はこちら
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チョコレートで、あらゆる人たちの未来に幸せを 久遠(くおん)チョコレート 代表 夏目浩次(1/4)
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チョコレートづくりは人の時間軸に合わせてくれる 久遠(くおん)チョコレート 代表 夏目浩次(2/4)

テンパリングの工程を
障がいをもつ
バディたちが担う

久遠チョコレートは「ピュアチョコレート」にこだわってきた。ピュアチョコレートの特徴は、油脂として使うのがカカオバターのみであること。常温では固形だが体温で溶けるカカオバターのおかげで、なめらかな口どけカカオの風味を感じることができる。このような理由で、久遠チョコレートでは、カカオ成分の純度の高いピュアチョコレートづくりを追求し続けている。

また、おいしいチョコレートをつくるうえで欠かせない「テンパリング(調温)」もポイントのひとつだ。テンパリングとは、50℃前後で溶かしたチョコレートをゆっくりと温度を下げてカカオバターの結晶を安定させる作業のこと。サラダ油などの植物性油脂を加えると、手間なく結晶を集められキレイなチョコレートが完成するが、久遠チョコレートは、カカオバター以外の油脂を加えないピュアチョコレートをつくることがモットーだ。ピュアチョコレートにこだわるからこそ、テンパリングは手間がかかる大変な作業になる。

このテンパリングを障がいをもつバディが担っている。自分のペースで黙々と作業することが得意なタイプ、一つのことに没頭することが好きなタイプのバディは、特にこのテンパリング作業が得意なのだという。

カカオバターを安定した結晶にする「テンパリング」。

京都店の制約が生んだ
テリーヌチョコレート

久遠チョコレートの代名詞ともいうべき存在がテリーヌチョコレート「QUONテリーヌ」だ。2014年12月、京都で1号店をオープンさせるにあたり、看板商品として考えられたもので、1号店では「ゆず」「抹茶」「ほうじ茶」「スイート」「ミルク」「ホワイト」の6種類を「京テリーヌ」と名付けて販売した。

1号店をオープンする際、久遠チョコレート立ち上げに賛同しプロデュースに関わったショコラティエの野口和男さんからは「この店舗は、チョコレートづくりに向いていない」と指摘を受けたそうだ。
美味しいチョコレートをつくるには、室温22~23℃、湿度50~60%以下の環境が必要だ。そのため、製菓エリアは通常、ガラスなどで仕切り、温度調整がしやすくなっている。ところが、京都店の造りはオープンキッチンスタイルだった。チョコレートづくりの適温に合わせてしまうと、来店するお客さまに寒い思いをさせることになる。
そこで、「こうした環境でもつくりやすいチョコレートを」と、野口さんが考案したのがテリーヌチョコレートだった。

久遠チョコレートを代表する商品「QUONテリーヌ」。
手作業で丁寧に1枚1枚カットしている。

日本各地の
食材を用いたフレーバー
テリーヌは150種類以上に

野口さんのアイデアにより、硬すぎず、ゆるすぎない、独特な食感が生まれた。その食感はフランス料理のテリーヌのようだったため、型に流し込み、スライスしたものを商品化した。

第2回で紹介したパウダーラボが誕生したことで、テリーヌチョコレートに混ぜる茶葉を粉砕する作業を内製化。さらに機械任せにせず、石臼で手引きすることで小回りの効く生産が可能となり、特色ある産地の果実などを使った小ロットのものづくりができるように。多種多様な商品展開が可能となり、テリーヌは現在150種類を超えるまでになった。
スタンダードなフレーバーはもちろん、日本各地の食材を用いた「ディスカバリー・ジャパンシリーズ」や季節限定・地域限定など選ぶだけでも楽しいラインアップが揃う。

愛知県からは、新城市や東栄町で生産されている
お茶を使ったフレーバーが。
まるで本の装丁のようなパッケージ
テリーヌを取り出すとメッセージが現れる
こちらは「タブレット」。バディたちが描いた
カラフルなアートをパッケージにした。
それぞれの個性を味わえるボンボンショコラ。
ギフトにもよい、持ち運び便利で
人気のQUON缶シリーズ。

プロフィール

久遠チョコレート 代表
夏目浩次(なつめひろつぐ)
愛知県豊橋市生まれ。2003年、障がい者雇用の促進と低工賃からの脱却を目的とするパン工房「花園パン工房ラ・バルカ」を開業。その後、より多くの雇用を生み出すため、2014年、久遠チョコレートを立ち上げる。これまでの奮闘を描いたドキュメンタリー映画『チョコレートな人々』(東海テレビ)が話題に。2024年2月には初の自叙伝『温めれば、何度だってやり直せる』(講談社)を上梓した。
久遠チョコレート
2014年の立ち上げから10年で全国60拠点まで拡大を続けるチョコレートブランド。「デイリー&カジュアル」をコンセプトに、世界各地のカカオや国内の食材から上質な材料を厳選。高いクオリティを手頃な価格で楽しめる商品づくりで人気を博す。2022年11月には、岐阜県出身であるシェ・シバタの柴田 武シェフとのブランド「ABCDEFG」を発表。今後も異業種とのコラボ企画などを積極的に展開していく予定だ。

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〒440-0897[豊橋本店]愛知県豊橋市松葉町1-4
電話番号:0532-53-5577
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