
中部地域の注目パーソンにインタビュー!
キリマルラーメンで、食卓に
「美味しい」を超えて「楽しい」を
小笠原製粉株式会社
代表取締役 小笠原充勇 (3/3)
August 08. 2025(Fri.)
動物のキリンのイラストのパッケージが目を引く、こだわりの国産素材を使った即席麺「キリマルラーメン」。西三河のご当地ラーメンとして親しまれる一方で、多くの地域や企業・施設、人気コンテンツなどとのコラボレーションも話題だ。
プロデュースしているのは、愛知県碧南(へきなん)市にある小笠原製粉株式会社。代表取締役の小笠原充勇(みつお)さんに、キリマルラーメンへの思いや、ご自身の目から見た会社とキリマルラーメンについて、お話を伺った。
最終回は、愛される商品づくりの背景と、今後の展開、会社の未来についてお聞きした。


地元愛が詰まっている
キリマルラーメン
―さまざまな変遷を経てきたキリマルラーメンですが、あらためて、どのような商品なのでしょうか?
一般的に即席麺の材料の国産比率は、10%程度と言われていますが、キリマルラーメンの主原料は国産100%。限定復活をした2003年のタイミングで切り替えました。
私の父が、自分の会社の商品である麺を地元産の材料でつくりたいと発案したのです。碧海(へきかい)地域は、小麦粉以外に二毛作で大豆や米をつくる農家が多く、小麦粉以外に豆乳と米粉を入れるようになりました。そのため、大半は地元産の材料を使っています。米粉が入ることでもっちりした食感が生まれ、豆乳を使うことでやさしい味わいになります。
碧海地域の農業を守るための団体「一粒の会」があります。弊社も会員で「一粒一粒に匠の技術と夢をこめたものをつくろう!」という熱い意志で農産物と向き合っています。
国産だと当然原価は高くなりますが、「それでも誰かがやらなければいけない挑戦。それなら自分たちが最初の1人になろう」と、地域の人々と協働して農業を発展させるために取り組みました。そんな地域の愛が詰まった商品が、キリマルラーメンなのです。
―他社の製品と比較して、もっとも特徴的なところは?
豆乳や米粉が入った即席麺なんてほかにはないと思いますよ。また、何より地元愛を大切にしている点は、大手メーカーにはない特徴ですね。キリマルラーメンのマーケティングは地元愛、味よりも優先しているのが地元愛。さらに言えば、小ロット製造をしていることで、オリジナルの味やパッケージができる。こんな商品に、競合はありません(笑)!


有名企業やキャラクターとの
コラボレーション商品
―確かに、いろいろなコラボレーションのラーメンを出していますね!
キリマルラーメンが今までにコラボレーションしてきたパッケージの数は、のべ250種から300種ほどあります。スープの味は、しょうゆ、みそ、しお、ごましょうゆ、手羽先風味、かつおだし、ナポリタン、カレーなど。地域の特産やキャラクター、施設、企業、団体などからオファーをいただいています。
―キリマルラーメンのファンは年代を問わずに幅広いのでしょうか?
一般的に消費者が即席麺に求めるものは、味と価格ですよね。でも弊社のお客さまは、味と価格で購入されているわけではないと思うんです。それよりも、弊社が大切にしてきた地域への愛、材料へのこだわり、商品が持つストーリーが気に入り、共鳴してくださる方々に支えられていますので、確かにファン層は年代問わず幅広いと思います。




家族と一緒の食卓をイメージして
アレンジができるインスタント麺
―なぜ、カップ麺ではなく、袋麺にこだわっているのでしょうか?
具がすでに入っているカップ麺は、お湯を注ぐだけでできますが、袋麺は、自分で肉や野菜などの具を加えて調理しますよね。キリマルラーメンを食べてもらえるのなら、ご家族やご友人と一緒に食卓を囲んで欲しいのです。袋麺を開けて、前の晩のお鍋の残りに入れてお昼ご飯を食べたり、「牛乳で煮込むと美味しいらしいよ」と子どもからせがまれた親御さんがつくったり、そんな食卓の風景をイメージしています。キリマルラーメンにレシピはありません。その日のご家庭にあるもので、アレンジして楽しんで欲しい。私たちがつくっているのは「美味しい」よりも「楽しい」商品。単なる食品ではなく思い出をつくる食品なのです。
―これからのキリマルラーメンの展望は?
これからの50年も、変わらず愛される商品でありたい。そのためには、「変わらない」でいることを大切にしたいと考えています。パッケージデザインや商品への考え方はそのままに、地域と深く関わりながらつくり続けていきたいですね。
また、現在は即席麺が主力ですが、麺を材料にしたお菓子をつくりはじめています。それ以外にも調理なしで食べられる楽しいお菓子の開発、文具や絵本、雑貨など食品以外の商品展開にも挑戦しています。キリマルラーメンをきっかけにして、お客さまの食卓だけではなく、生活が楽しくなっていく。そんな未来を想像しています!






これまでにたくさんの雑貨商品を制作。


即席麺専用の袋も。
プロフィール
- 小笠原製粉株式会社 代表取締役
- 小笠原充勇(おがさわら みつお)
- 1977年碧南市生まれ。家業は継がないと心に決めて、家を飛び出すようにして大学に進学。音楽の道に進むが、29歳になって家業に戻ることに。現在はキリマルラーメンの製造元である小笠原製粉株式会社の3代目を受け継ぐ。祖父や父がつくりあげた会社と商品を、地域の人々に見守られながらも自ら指揮をとってブランディングにも果敢に挑戦。地産地消をモットーに地域に貢献できる企業でありたいとの願いから、ひとつひとつの仕事に丁寧に向き合う。

- 小笠原製粉株式会社
- 製粉精米業の会社として、1907年に創業。1909年には三重県より手延べ麺職人を招き、兼業として製麺を開始。大正時代になると製粉部門を主力として現在の場所に新たな工場を建設・移転。1938年に精米業を廃止し、戦後は政府指定工場として小麦粉加工を拡充させる。現在は地元国産小麦による製品開発を進め、地域貢献企業を目指して事業展開している。
キリマルラーメン
https://kirimaru.jp/
キリマルラーメンInstagram
https://www.instagram.com/kirimaru_ramen//