
中部地域の注目パーソンにインタビュー!
甘い香りとお菓子と本
“出会い”が生まれる場所
菓子屋shirushi 代表
黒部 恵さん
(2/3)
April 07. 2026(Tue.)
愛知県犬山市にある「菓子屋shirushi」。代表・オーナーパティシエの黒部 恵さんがこの店をオープンしたのは2020年のこと。看板商品のレモンケーキをはじめとする焼き菓子が店頭を彩り、芳ばしい香りに満たされている。地元の食材を積極的に使うだけでなく、日本の季節の繊細な移り変わりをお菓子に表現しており、地元のみならず遠方からも多くの人が足を運ぶ人気店だ。
好きなことにとことん取り組んできた黒部さんに、これまでの歩みや、人の心を動かすお菓子づくりについてお話を伺った。
第2回目となる今回は、「菓子屋shirushi」をオープンしてからとその後の活動ついて語っていただいた。
ー前回までの記事はこちら
バレーボールとお菓子「好き」に夢中な人生 菓子屋shirushi 代表 黒部 恵さん(1/3)


「菓子屋shirushi」オープンと同時に
オンラインショップも大人気
―なぜ犬山市を出店の場所に選んだのですか?
生まれ育ったのが岐阜県下呂市ということもあり、観光地特有の賑わいが好きなんです。住まいのある江南市から犬山市は近いので、子どもを連れてよく犬山には遊びに来ていましたし、お城巡りが好きで、国宝・犬山城のかっこ良さに惹かれたことも理由のひとつです。


―お菓子づくりにおけるこだわりポイントを教えてください。
オープンしてからさまざまな生産者さんと出会い、お菓子に使う材料を仕入れさせてもらっています。愛知県の永井ぶどう園さんのブドウや伊藤農園さんのモモ、岐阜県の農家tete.さんのイチジク、いなば苺農園さんのイチゴ、長野のたつみ農園の紅玉リンゴなど。農家のみなさんは本当に真面目に果物づくりに取り組んでいらっしゃるので、心強いパートナーとなっています。
―お店オープンと同時にオンラインショップもスタートされましたね。
お菓子の通信販売展開は最初から頭にありました。コロナ禍でお家時間が増え、お取り寄せグルメが一般的になりましたよね。家の中での時間が増えると、お菓子を食べるひとときが、暮らしを彩る重要な要素となっていたと思います。誰かのためではなく、お客さま自身が豊かな時間を過ごす。そのために菓子屋shirushiの商品を選んでもらえて、とても嬉しく思いました。


存在感たっぷり、人気のスコーン。
一番人気の看板商品。季節限定の味も登場する。


出来たてならではの風味とふんわり&しっとり食感。
―日本の季節を意識したお菓子が、お客さまの心に響いたのではないでしょうか?
里山に育ち、風景の色が移り変わってゆくことを自然に体感してきました。またお正月に節分、春のお彼岸に秋のお彼岸と、季節ごとの行事を家族と一緒に過ごしました。私は日本の四季や言葉の美しさが好きで、二十四節気(※)にちなんだお菓子をオンラインショップのみで、『お菓子のお便り』として定期便にしています。例えば春なら、「啓蟄(けいちつ)」と「春分」で春の食材を使い、その次は「清明」と「穀雨」で初夏の食材を用いるといったように、2つの季節ごとに1ヶ月に1回のペースで発送しています。その季節に地元で旬を迎える食材を積極的に使っていて、今ではこの定期便を楽しみに待っていてくださるお客さまも多くいらっしゃいます。
※二十四節気:1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6分割して、24の季節として組み立てた暦のことで、日本の繊細な季節の移り変わりを表現したもの。


岐阜県産よもぎのスコーンや岐阜県産晩白柚
(ばんぺいゆ)のジンジャーフィナンシェなど。


気軽におやつや手みやげにも購入できる。
お菓子屋にとどまらず
本屋開業で活動の幅が広がる
―「菓子屋shirushi」のオープン1年後には、2階で「本屋tsuide(ついで)」を始められます。お菓子屋と書店という組み合わせは面白いですね。
菓子屋shirushiに来た“ついで”に立ち寄ってもらえる、犬山市に来た“ついで”に訪れてもらえる場所になってほしいという想いでスタートしました。私にとって本は、知らないことを教えてくれる大切な存在。最初から本屋をやることは考えていました。ブックカフェのようにして、イートインスペースにできますし、お菓子の材料を提供いただいている農家さんなどのつくり手とワークショップをおこなうといった活動の場にもなると思い、クラウドファンディングを利用して開きました。今では、野草研究家や養蜂家、スパイスの専門家など、さまざまなジャンルの人と面白いつながりができています。本屋の枠を超えて、いろいろな人が活動できる場所へと成長していけたらと思っています。


食にまつわるさまざまなイベントを開催。


つながりのある生産者の食品や雑貨なども。


プロフィール
- 菓子屋shirushi オーナーパティシエ
- 黒部 恵(くろべ けい)
- 岐阜県下呂市出身。製菓学校を卒業後、名古屋市内の洋菓子店2店で修業を重ね、愛知県江南市のカフェでパティシエとして活躍。2020年秋、愛知県犬山市で「菓子屋shirushi」を開業。翌年にはshirushiの2Fに「本屋tsuide」をオープンさせた。2026年秋には、新ブランドをスタートさせる予定。


- 菓子屋shirushi
- 朝の開店を目指して訪れる熱心なお客さまがいるほど、大人気の菓子店。焼き菓子を中心に、季節感あふれる中部の地元食材を使った菓子がずらりと並ぶ。2階では、食をテーマにした本屋・カフェスペースの「本屋tsuide」があり、菓子とコーヒーを楽しむことができる。店名は、「ほんのしるし」「感謝のしるし」「季節のしるし」の願いが込められている。
Instagram
https://www.instagram.com/kashiya_shirushi/




