むすぶひと、つなぐひと

中部地域の注目パーソンにインタビュー!

感動を生むガーデンづくりに向き合う2人が
「メグラスガーデン ナゴヤ」に込めた想い

樹木医・ガーデンプロデューサー 塚本こなみさん
ガーデンデザイナー 小倉珠子さん
(1/3)

June 24. 2026(Wed.)

2026年4月のオープン以来、多くのガーデニング愛好家たちが注目を寄せる名古屋市港区の「メグラスガーデン ナゴヤ」。“365の季節を持つガーデン”というコンセプトの通り、一年を通じて表情を変える多年性植物「宿根草(しゅっこんそう)」を中心に、たくさんの花と緑が美しく園内を彩っている。この施設を手掛けたのが、樹木医・ガーデンプロデューサーの塚本こなみさんとガーデンデザイナーの小倉珠子さんだ。

第1回目の今回は、オープンを迎えたメグラスガーデン ナゴヤに込めた想いについてお聞きした。

構想から5年の時を経て
新たなガーデン施設がオープン

――もともとこの名古屋市港区エリアにあった「名古屋港ワイルドフラワーガーデン ブルーボネット」が生まれ変わり、2026年4月23日、花と緑に彩られた新名所「メグラスガーデン ナゴヤ」がオープンしました。まずは、お二人がどのようにこの新スポットに関わっているのかをお聞かせいただけますか。

塚本さん このガーデンが誕生するまでに5年の歳月を要しました。私はプロジェクトが動き始めた頃から全体統括を務めています。現在も理事長を務める静岡県の「はままつフラワーパーク」や長年園長に就いていた栃木県の「あしかがフラワーパーク」をはじめ、全国の公園や庭園をプロデュースしてきた経験を活かし、リニューアルから運営に至るまでさまざまな助言を行っています。

小倉さん 私はガーデンデザイナーとしての知見を活かし、プロデューサーである塚本さんのもとでコンセプトや基本構想の立案、設計に至るまで、庭園のデザイン全般を担当しました。

リニューアル計画全体を統括したガーデンプロデューサーの塚本こなみさん。
コンセプトづくりから携わるガーデンデザイナーの小倉珠子さん。

ランドスケープにまでこだわり
アート感覚を取り入れる

――メグラスガーデン ナゴヤを手掛けるにあたり、どんなことを心掛けましたか?

塚本さん 大切にしたのは「つくり手や施主の自己満足にならないこと」です。現代のガーデン施設は、多くのお客さまに愛される場所であることはもちろん、「サステナブルであるかどうか」が重視されています。そこで未来にも目を向けながら、ガーデンのあるべき姿を構想していきました。そして何より、お客さまにきちんと向き合いながら、「心が震えるほど美しい」と思ってもらえるようなガーデンづくりを目指しました。

――アートを取り入れている点も特徴的ですね。

塚本さん ガーデンとしては十分な広さがありながら、フラワーパークとしては決して広大とは言えません。そんな施設をどのように運営するのがいいのか。思案を巡らせる中でたどり着いたのが、花や緑を見せるだけでなく、ランドスケープの部分からアート感覚を取り入れるという発想です。そこで存分に持ち味を発揮してくださったのが小倉さんです。イギリスの大学でガーデンを学び、海外でさまざまな刺激を受けてきた小倉さんが、独自の感性をもとに洗練されたガーデンデザインを紡ぎ出してくれました。

地面を彫刻したような芝生の円形劇場が
印象的な「見晴らしの広場」。
小倉さんがこだわった瀬戸焼で
つくられた鳥のオブジェも見どころ。
感性をくすぐる園内のオブジェ。
座って休めるベンチの役割も。

――小倉さんはデザインを担当するうえでどのような点を意識されたのですか?

小倉さん 意識した点はいくつかありますが、その一つがガーデンの中にいかにアートの感覚を取り入れるかということでした。過去に海外のガーデンなどで、地形が造形的につくり込まれた個性的な景観や、アートがうまく融合されている素敵な空間に出会い、とても感銘を受けました。単にオブジェを並べるだけでなく、植物の特性や形状を活かしつつ、空間や地形そのものをアートのように仕上げていく。そういったエッセンスをこのガーデンに取り入れたいと考えました。

――景観自体に特徴をもたせるということですね。

小倉さん メグラスガーデン ナゴヤが立地するのは、目の前に海が広がり、周囲には発電所や工場が立ち並ぶ工業地帯です。周囲と趣を異にする「隔絶された空間」とも言えますが、これが逆に良かったと思っています。豊かな自然に囲まれた施設であれば、どうしても周囲との調和を意識せざるをえません。この場所であれば周りに影響されることなく、自由な発想でガーデンをつくり込むことができる。思い切った冒険がとてもしやすかったですね。

紫色の可憐な花を付けたサルビア・ネモローサ ’カラドンナ’。宿根草のひとつ。
“メグラス”の名称に含まれている
グラス類の植物も多数。

まだ生まれたばかりのガーデンを
しっかりと見守り続けていく

――造成にあたって、いろいろな課題をクリアしてきたとお聞きしました。

小倉さん そうですね。なかでも大きな問題だったのが、強い潮風です。特に背の高い樹木は影響を受けやすく、植物の選定はもちろん、どこに、どのように配置するかに至るまで、細やかな配慮が必要でした。また、夏の暑さも私たち2人の想定を超えていました。私たちが普段活動している浜松市の気温と比べると、冬は2℃ほど低く、夏は2℃ほど高いんです。そうした過酷な環境に耐えられる植物を選ぶことも大変なポイントの一つでした。

塚本さん 無事にオープンを迎えた現在は、細部にまでこだわった施設をつくり上げることができ、やり切ったという気持ちでいっぱいです。

小倉さん 私も手応えを感じていますが、これからが本当のスタート。メグラスガーデン ナゴヤは「宿根草」を主体としています。花が咲いて、寿命が終わる「一年草」と違い、花が終わって冬季には枯れたように見えても根が生きており、一度休眠して、春にはまた芽を出し成長して花を咲かせる、というサイクルを繰り返します。見頃の異なる宿根草をさまざまに組み合わせた四季折々の姿はもちろん、2年後、3年後、5年後の様子を想像しながらプランを立ていますので、植物の成長を見届けながら、環境に合わせてより美しい景観となるようにブラッシュアップをしていきます。

重厚な石積みの門扉で閉ざされた特別な空間「秘密の花園」。
塚本さんの長年の夢だったという、花々が埋め尽くすガーデン。
3月春分の日〜6月頃までの期間限定で公開。
園内にあるガーデンカフェ「Me-Stand」。
英国風カフェをイメージした内観とメニューが揃う。
スコーン2種にジャムなどが付いたクリームティー
セットとオリジナルのフレーバーティー。
茶葉の販売もある。

プロフィール

塚本こなみ(つかもと こなみ)/小倉珠子(おぐら たまこ)
塚本こなみさん/静岡県磐田市出身。造園業を営む夫の仕事を手伝ううち、一級造園施工管理技士を取得。1992年、日本で女性初の樹木医資格取得。ガーデンプロデューサーとして数々の施設を再生してきた実績を持つ。1996年に大藤移植を成功させた「あしかがフラワーパーク」(栃木県)は、米CNN「世界の夢の旅行先10カ所」(2014年)にも選出。2013年以降、「はままつフラワーパーク」(静岡県)の理事長を務める。 小倉珠子さん/静岡県浜松市出身。ランドスケープ&ガーデンデザイナー。東京農業大学造園学科を卒業。ランドスケープコンサルタント会社を経て渡英。英国の大学でガーデンデザインを学び、帰国後は浜松市を拠点に活動。浜名湖花博などの国際的な園芸イベントの設計や運営に携わるほか、個人庭園や公共空間の設計、植栽デザインなどを手掛ける。世界最大級のデザインコンペ「A’Design Award & Competition」にて、2015年Landscape Planning & Garden Design部門銀賞を受賞するなど、数々の賞を受賞。
Megrass Garden Nagoya(メグラスガーデン ナゴヤ)
2026年4月、名古屋市港区の海沿いにグランドオープンした庭園施設。折り重なるような造りの6つのゾーンで構成されており、一年を通じて「花のリレー」が行われるのが特長。春限定で公開する特別な空間「秘密の花園」では、花々に囲まれる没入体験を存分に楽しめるなど、「アート鑑賞のようにガーデンを楽しむ」という新しい価値を提案し、訪れる人たちに植物の力でたくさんの感動を届けている。

Instagram
https://www.instagram.com/megrass_garden_nagoya/

MAP

〒455-0028愛知県名古屋市港区潮見町42
電話番号:052-870-6650
上部へ戻る