
中部地域の注目パーソンにインタビュー!
ともに「木登り」が大好き
2人の感性を育んだ幼少期とは
樹木医・ガーデンプロデューサー 塚本こなみさん
ガーデンデザイナー 小倉珠子さん
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June 25. 2026(Thu.)
2026年4月のオープン以来、多くのガーデニング愛好家たちが注目を寄せる名古屋市港区の「メグラスガーデン ナゴヤ」。“365の季節を持つガーデン”というコンセプトの通り、一年を通じて表情を変える多年性植物「宿根草(しゅっこんそう)」を中心に、たくさんの花と緑が美しく園内を彩っている。この施設を手掛けたのが、樹木医・ガーデンプロデューサーの塚本こなみさんとガーデンデザイナーの小倉珠子さんだ。
第2回目の今回は、2人の原点から現在に至るまでを語っていただいた。
ー前回までの記事はこちら
感動を生むガーデンづくりに向き合う2人が「メグラスガーデン ナゴヤ」に込めた想い 樹木医・ガーデンプロデューサー 塚本こなみさん ガーデンデザイナー 小倉珠子さん(1/3)


父の影響で子どもの頃から
植物に触れてきた塚本さん
――全国各地のフラワーパークや庭園を数多く手掛けられてきたお2人は、ともに静岡県ご出身です。塚本さんは磐田市にお生まれですが、どのような幼少期を過ごされてきたのでしょうか。
塚本さん 私はスポーツと木登りに夢中な女の子でしたね。父親が庭木をいじるのが大好きで、子どもの頃から植物が身近にありました。小学生時代には走り高跳び、中学時代には器械体操に打ち込む一方で、海の近くにあった学校の前に立派な松林が続いており、そこで木登りを楽しんでいました。とにかく活発な子でしたね。
――高校卒業後は大手化粧品メーカーに就職し、結婚を機に造園業の世界へ入られます。
塚本さん ええ。そこから巨樹や古木の移植を手掛けるようになり、1992年に樹木医の資格を取得しました。
――当時は、日本初の女性樹木医として注目されたのですよね。
塚本さん 当初メディアなどでとり上げていただくことに、正直葛藤がありました。14日間に及ぶ樹木医の試験期間を通じてこの世界の奥深さに触れ、「私は名医なんかじゃない。むしろ『迷医』だ」と痛感したからです。しばらく取材などはお断りしていましたが、「名医ではないけれど、『木に命があること』を皆さんにお伝えすること」が、私の使命なのではと思い直したんです。その後、全国紙で取り上げていただき、これをきっかけに、「奇蹟の大藤」と呼ばれる、当時樹齢130年だった藤を移植するプロジェクトを担うことになりました。
無理だと言われていた直径1mの大藤の移植に成功。
移植先の「あしかがフラワーパーク」の藤は
「世界一美しい」と言われるまでに。
「手に職を付けよう」と
造園学科へ進学した小倉さん
――小倉さんは浜松市のご出身ですね。どのような幼少時代だったのですか?
小倉さん 奇遇なんですが、私も塚本さんと同じように子どもの頃は木登りが大好きでした。高校卒業後は東京農業大学造園学科に進学したのですが、早くから造園の道に進もうと考えていたわけではなく、「女性でも手に職を付けた方がいい」という母のアドバイスがきっかけで選びました。母は元々デザインの仕事をしていたのですが、結婚して早々に辞めているんです。だからこそ、手に職を付け、長く活躍し続けられる職業を選んでほしいという思いが強かったんだと思います。
――大学進学後は、基礎から造園を学び、そのままこの世界へ?
小倉さん そうですね。卒業後はランドスケープの計画や設計を手掛ける会社に就職しました。そしてさらに付加価値を感じてもらえる自分らしい空間を提案したいと一念発起し、イギリスの大学で本格的にガーデンデザインを学ぶことを決めました。1990年代半ば、日本国内でガーデニングという言葉が広まり始めた頃のことです。結果的にその後に訪れるブームを先取りする形となり、現在のキャリアの礎を築くことにつながりました。


浜名湖花博をはじめとする園芸イベントや
ガーデンの設計などに携わる。
2人が出会ったのは12年前
今では家族のような存在に
――そんなお二人が、初めて出会ったのはいつのことですか?
塚本さん 2014年のことです。私が「はままつフラワーパーク」の理事長に就任して間もなくのことです。「浜松市内に感性豊かな女性ガーデンデザイナーがいる」という噂を聞き、小倉さんとお会いしました。その後は、はままつフラワーパーク内の2カ所の庭園デザインを小倉さんに依頼したほか、静岡県の伊豆市や掛川市の現場でも一緒にお仕事をさせていただいています。
小倉さん 私が塚本さんを知ったのは、女性樹木医第一号として注目を浴びていた頃ですね。当時、植物好きな母が新聞の切り抜きを見せてくれたのをよく覚えています。もちろん、そこから20年ほどの歳月を経て、一緒にお仕事ができるとは思ってもいませんでした。今では私にとってこの世界のお姉さんみたいな存在です。


数多くの人気施設を手掛ける。
花々の美しさや植物のチカラで
癒しのひとときを届けたい
――あらためて振り返って、塚本さんのこれまでの経験は、メグラスガーデン ナゴヤをつくり上げるにあたってどんなところに活かされていますか?
塚本さん これまでさまざまなプロジェクトに関わり、何をすればいいのかを考えるなかで「お客さまの声に耳を傾けること」の大切さを学びました。そして、「花を通じてたくさんの方に生きる力をお渡しできる素晴らしさ」を実感したことも大きかった。こうした教訓や学びがメグラスガーデン ナゴヤにも随所に活かされています。
――何よりガーデンのお客さまのことを考えていらっしゃるのですね。
塚本さん 花や木々を見て感動したい、ほっと和みたい。お客さまはいろいろな思いでここを訪れます。そんなみなさんに、癒しの空間を心から楽しんでもらえるのがガーデンの魅力です。これまで多くの草花を通じて、その存在の大きさに気づかせてもらいました。だからこそメグラスガーデン ナゴヤでは、集大成となるような、たくさんの人に喜んでもらえる場所をつくりたい。それが私にとっての一番の幸せですから。
プロフィール
- 塚本こなみ(つかもと こなみ)/小倉珠子(おぐら たまこ)
- 塚本こなみさん/静岡県磐田市出身。造園業を営む夫の仕事を手伝ううち、一級造園施工管理技士を取得。1992年、日本で女性初の樹木医資格取得。ガーデンプロデューサーとして数々の施設を再生してきた実績を持つ。1996年に大藤移植を成功させた「あしかがフラワーパーク」(栃木県)は、米CNN「世界の夢の旅行先10カ所」(2014年)にも選出。2013年以降、「はままつフラワーパーク」(静岡県)の理事長を務める。 小倉珠子さん/静岡県浜松市出身。ランドスケープ&ガーデンデザイナー。東京農業大学造園学科を卒業。ランドスケープコンサルタント会社を経て渡英。英国の大学でガーデンデザインを学び、帰国後は浜松市を拠点に活動。浜名湖花博などの国際的な園芸イベントの設計や運営に携わるほか、個人庭園や公共空間の設計、植栽デザインなどを手掛ける。世界最大級のデザインコンペ「A’Design Award & Competition」にて、2015年Landscape Planning & Garden Design部門銀賞を受賞するなど、数々の賞を受賞。


- Megrass Garden Nagoya(メグラスガーデン ナゴヤ)
- 2026年4月、名古屋市港区の海沿いにグランドオープンした庭園施設。折り重なるような造りの6つのゾーンで構成されており、一年を通じて「花のリレー」が行われるのが特長。春限定で公開する特別な空間「秘密の花園」では、花々に囲まれる没入体験を存分に楽しめるなど、「アート鑑賞のようにガーデンを楽しむ」という新しい価値を提案し、訪れる人たちに植物の力でたくさんの感動を届けている。
Instagram
https://www.instagram.com/megrass_garden_nagoya/





