おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

「快眠」のために
できることとは?
睡眠マスターに聞く!
眠りの極意(2時間目)

January 27. 2023(Fri.)

年代を問わず睡眠は欠かせないもの。しかし、当たり前のようにぐっすり眠れた昔とは異なり、現代の環境では一人ひとりが意識して眠らなくてはならない。いわば深く長く眠るための「睡眠力」を磨くことが必要なのだ。そこで、すぐに実践できる「睡眠力」の上げ方を、一般社団法人日本快眠協会 代表理事の今枝昌子さんに指南してもらう。

ー1時間目の記事はこちら
質の悪い睡眠に潜むリスクとは?睡眠マスターに聞く!眠りの極意(1時間目)

一般社団法人日本快眠協会 代表理事・スリープケアマスター
今枝 昌子
2004年からリフレクソロジストとして、2009年からリワークの講師として心療内科に勤務し、6,000人以上に及ぶ眠れない方の足裏を施術。「睡眠力を鍛えて、日本を元気に」を理念として、2012年に一般社団法人日本快眠協会を設立。企業研修や企業コンサルティング、CSAスリープケアマネージャーの養成を通して、睡眠の問題を発見し解決するための指導を行う。公益財団法人神経研究所 睡眠健康推進機構 推進員、睡眠学会学会員。
https://kaimin.or.jp/

2時間目
どうすれば「質の良い睡眠」を取れますか?

3つのホルモンから考える「質の良い睡眠」とは

まずは、睡眠にまつわる3つのホルモンについて紹介します。

休息と疲労回復を促進する「成長ホルモン」。入眠直後に深い睡眠になることで分泌されます。
次に、目覚めがスッキリする「コルチゾール」。こちらはいわば“ストレスホルモン”で、なにか危険が迫ったときすぐに戦闘態勢に入るためのもの。睡眠においては、起きるときに血糖や血圧を上げてくれる
目覚ましのような役割を果たします。
そして最後に、眠りを誘うホルモン「メラトニン」です。起床後、明るい光を浴びた14~16時間後に分泌され、眠気を促進します。

これら3つのホルモンの特徴を踏まえた上で、睡眠の改善方法には2通りあります。1日をどう過ごすかという「時間術」と放熱してリラックスできる環境を整える「生理学」です。

何時に寝て何時に起きる?
朝寝坊はNG!?
「快眠の時間術」を実践

みなさんは自分に必要な睡眠時間を把握していますか?
個人差がありますが、簡単な方法として、平日と予定のない休日の睡眠時間を比べてみることです。
たとえば平日の睡眠時間が6時間、休日が8時間という方は、平日の睡眠不足を休日の睡眠で賄っている可能性があります。平日と休日の差が2時間以上ある場合は要注意。休日の朝寝坊が過ぎると体内時計が狂ってしまい、週明け水曜日まで日中の眠気に悩まされてしまうこともあるそうです。
できるだけ、平日と休日の睡眠時間の差が小さいことが好ましいのですが、「急に2時間も早く寝たり起きたりするのは難しい」という方が大半です。
では試しに、起きる時間はそのままで15分だけ早く就寝してみるのはいかがでしょうか?そして、それを2週間続けられたらもう15分早めてみる。生活習慣をすぐに修正することは困難ですが、このように1日の流れの中に“徐々に”取り入れることで、身体や習慣を作りやすくなる方が多いようです。
また、寝る直前にスマートフォンの明るい画面を見てしまうと「メラトニン」の分泌が抑制されてしまい、緊張状態になってしまいますので注意しましょう。
最後に、十分な睡眠を習慣化するためにとても大切なのが「就寝時間が違っても同じ時間に起きる」ということです。そうすることで「コルチゾール」が働き、自然と決まった時間に寝て起きられるようになります。

パジャマ選びは大切!
“放熱”と動きやすさで選ぶ

「質の良い睡眠をとろう」と枕にこだわる方がたくさんいますが、枕と同じくらいパジャマも重要です。
みなさんは何を着て寝ていますか?スウェットやジャージを着て寝ている方も多いのではないでしょうか。実は、スウェットやジャージは睡眠には向いていないかもしれません。このタイプの生地は日常生活だと動きやすいのですが、睡眠用の着衣では「身体にこもった熱を“放熱”できるか」が大切なポイントとなります。深い睡眠に入るためには、身体の深部体温が下がった状態が必要で、そのためには“放熱”する必要があるからです。
化学繊維の生地だと熱が逃げず、冬場でも熱が戻って汗をかくという方は、パジャマの見直しをしてみてはいかがでしょうか。身体がリラックスできる天然繊維の生地を使った柔らかい素材のパジャマを選んで試してみてください。睡眠中は20回、30回と寝返りをうつため、身幅より余裕のある柔らかい生地がおすすめです。

寝る前にリラックスするためのセルフケア方法

深い睡眠を得るためには、寝るときに身体が緩んだ状態であることも必要となります。身体をリラックスした状態にするためには、呼吸法、アロマテラピー、簡易枕の作成、ストレッチなどさまざまな方法はありますが、すぐにできるセルフケアとして「あしうら快眠法」があります。足裏にある「反射区」を刺激することで、間接的に身体をほぐすことができるという方法。
寝る1~2時間前に、手で包み込むように指の付け根からかかとまでほぐした後、スーパーボールなどの丸いものを足の指や指の付け根、土踏まずに当てて深くゆっくりほぐしていくというもので、片足約5分で簡単にできます。
身体の状態は足に表れやすいといわれていて、疲れている方の足は硬くて冷たいことが多いです。足裏を改善することで「よく眠れるようになった」という方をたくさん見てきました。
「睡眠を改善したい」という方は、ぜひ一度試してみてください。
「睡眠力」を上げて、自分らしく健やかに生きていきましょう。

上部へ戻る