おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

日本酒はどうやって
選べばいいの?
(2時間目)

November 21. 2024(Thu.)

「飲食店や酒屋で日本酒を選ぶ時、自分の好みに合った酒をどうやって選べばいいのだろう?」こんなお悩みの声をよく聞く、と林酒造株式会社代表取締役の林伊兵衛さんは言います。1時間目でベーシックな3種類の日本酒を学びましたので、2時間目は実践編。日本酒の楽しみ方を教えていただきます。

ー1時間目の記事はこちら
日本酒の種類を知ろう(1時間目)

林酒造株式会社 代表取締役 クッキングサロンYOKO 主宰
林伊兵衛さん 林容子さん
岐阜県可児市にある林酒造は、1874年(明治7年)創業の150年続く老舗酒蔵で、清酒「富興」や「美濃天狗」などの銘柄で長く親しまれている。林伊兵衛氏は、林家の12代目当主。林容子氏は、伊兵衛氏の実姉で、生家である林酒造の酒蔵の一角で料理教室を主宰(愛知県名古屋市・三重県菰野町でも教室開講)。日本酒と家庭料理の組み合わせには定評がある。
https://www.minotengu.co.jp
https://www.yokosalon.com

2時間目

日本酒の見つけ方と
健康的な楽しみ方

日本酒は発酵品でもある!

米を原料とした醸造酒である日本酒は、アルコール飲料であるとともに、「発酵品」でもあります。120種類以上の栄養物質を含んでおり、特に必須アミノ酸のバランスがよく、グルタミン酸も豊富。これらはどちらもいわゆる「旨味成分」です。このバランスのとれたアミノ酸を多く含むという特徴は、酒の中では日本酒とワインにのみあるもの。蒸留酒には旨味成分はありません。

食事とともに日本酒を飲むと美味しいと感じるのは、旨味成分を含む日本酒と一緒に摂取することによって、美味しさの相乗効果があるからなのです。特に日本食は、味噌や醤油、酢やみりんなどの醸造調味料を使うため、同じ醸造品であり発酵品でもある日本酒と相性がよいのです。

健康的に日本酒を
飲みましょう

日本酒の旨味成分であるアミノ酸は、食欲を増進させ、胃を丈夫にする効能があると言われています。この他、日本酒の生活習慣病の予防作用や、善玉コレステロールの増加などの効能があるとされる研究結果が出ています。こうした健康的な側面は、適量の飲酒だからこそ。もちろん飲み過ぎは、過ぎたるは及ばざるがごとし、です。

公益財団法人アルコール健康医学協会では、一般的な目安として日本酒2合程度を限度としており、このラインを意識して日本酒とうまく付き合うことが、重要となりそうです。
※アルコール摂取の許容量は個人差がありますので、飲酒量についてはあくまでも目安としてお考えください。

さて、続いて日本酒の楽しみ方について。日本酒は日本人の生活に密着したお酒なので、難しいルールはありません。たとえば炭酸で割ったり、氷を入れてロックにしたり、レモンやライムを入れてスッキリした味わいにしたり。飲みやすいな、美味しいな、と思う飲み方を見つけてみてください。
アルコールが苦手な方は、甘酒を飲むことで、日本酒の栄養を摂取することも! 適量を美味しく飲むことこそ、日本酒との良い付き合い方だと思います。

自分の好みを
伝えられるようにしよう

では、飲食店や酒屋で日本酒をオーダーする時は、どうやって好みを伝えればいいのでしょうか。香りと味わいの2つの軸をベースにしたマトリクス図を参考に、自分の好みを知るところから始めましょう。

日本酒の味わいに関する説明に「辛口」と「甘口」の表記がありますが、辛口はすっきりと軽く、甘口はどっしり系で重い、と思っていただいたほうがわかりやすいでしょう。ボトルの裏側などに、辛口は「+」で、甘口が「−」で表記されています。慣れてくれば、+−の数字を見ればおおよそ味の想像はつくようになります。

このマトリクス図の中から、自分の好みを見つけたり、料理の味わいに合わせてみたりして、「こんな味わいの日本酒を飲みたい」と伝えられるようになれば、日本酒の楽しみは一歩前進することでしょう!

林酒造のある岐阜県可児市は空気が乾燥した地域です。この地域で日本酒を飲むなら、コクがあってスッキリした味わいが欲しくなる。だからうちの蔵ではそんな日本酒づくりを目指しています。お住まいの地域に酒蔵があったら、ぜひその蔵のお酒を飲んでみてください。きっと土地の風土や気候に合った酒づくりをしていると思います。

日本酒の保存法とは?

日本酒は一般的に常温で出荷・保存されています。ワインのように気温に影響されることが少ないので、自宅で保存する場合は、日光が当たらない冷暗所に置いておくといいでしょう。なにより大敵なのは、太陽の強い光です。また、冷蔵庫に入れると劣化してしまうタイプもあるので、注意が必要です。

吟醸酒など、スッキリ系の日本酒は、すこし冷やした方が美味しく感じることがあるので、飲む前に数時間冷蔵庫で冷やします。酒屋さんで購入する時に、保存場所についても聞いておくといいでしょう。

日本酒の贈り物をする時は、保存場所についてもひと言添えると、より丁寧な心遣いになります。

上部へ戻る