知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
自分に合った包丁を探そう
~料理上手は包丁から~
(2時間目)
September 19. 2024(Thu.)
毎日料理をする人にとっては、“相棒”のような存在の包丁。切れ味一つで食材の見た目や美味しさが、使い心地一つで料理の楽しさが変わります。「こだわりたいけれど、種類が多く選ぶポイントが分からない」という方もいるのでは?「岐阜関刃物会館」の専務理事・桜田公明さんに、初心者に向けた包丁の選び方をレクチャーしてもらいます。2時間目は、包丁を選ぶ際に重視したいポイントについてお話してもらいました。
ー1時間目の記事はこちら
包丁の基礎知識を知ろう!~料理上手は包丁から~
- 協同組合岐阜関刃物会館 専務理事
- 桜田公明
- 関市役所商工課で刃物事業者に関わってきた経験を生かし、2021年3月に移転オープンした刃物の展示施設「岐阜関刃物会館」の専務理事として、関の刃物の歴史や魅力などを伝えている。岐阜県刃物産業連合会 事務局長、日本輸出刃物工業組合 専務理事ほかも兼務している。
包丁選びは
「何を切るか」で考える
包丁には切る際に適した種類や素材、刃渡りがあります。
例えば、魚をさばくときは先が尖ったものを、大きなものを切る時には長い刃を持つものが適しているでしょう。
また、同じ種類の包丁でも刃渡りの長さにより適する食材が異なることがあります。例えば、出刃包丁では小さいアジを捌くなら90mmの短いものがいいですが、鯛を捌くなら180mmの長いものが適しています。また、三徳包丁などと比べてサイズがひとまわり小さいペティナイフであれば、果物を切るなら120mmの短いものがおすすめですが、野菜などを切るなら150mmのほうが便利でしょう。
一方で、ご家庭で日常的に使う場合、包丁の種類が多いと保管や手入れも大変です。ご家庭で使うには、肉や魚、野菜など大半の食材がカットしやすく万能な三徳包丁を、まず1本用意しましょう。
自分に合った包丁は
どう選ぶといい?
どの種類の包丁を買うか決めた後、ハンドルを握ってみることも大切です。人により、ハンドルがまっすぐなタイプが握りやすいこともありますし、カーブを描いた丸みのあるタイプのほうが手にフィットする場合もあります。
また、同時に持ってみて重さもチェックしてみましょう。ハンドルの素材によって重さは異なります。ご高齢などで手の力が弱い方なら、軽いペティナイフを使うのもおすすめです。刃渡り150mm程度のものを選べば、三徳包丁に近い使い方ができるでしょう。
そして、見た目も重要です。ダマスカス鋼の包丁(写真1枚目)は刃の波打つ模様が芸術的ですし、ハンドルまでステンレス鋼で作られたオールステンレスの包丁(写真2枚目)はスタイリッシュさが魅力です。心の琴線に触れる一本が見つかるといいですね。
三徳包丁のような両刃の包丁には、右利き、左利きはありませんが、出刃包丁や柳刃包丁のような片刃の包丁には、左利き専用もあります。
長持ちする包丁を
選ぶコツは?
包丁の価格は1000円以下から数万円まで幅広くありますが、その違いは、メーカーや鋼材によるものです。一番おすすめなのは1万円台のものです。それ以下だと鋼材の硬度が低く、早く摩耗する可能性があると思います。
ご家庭で使う場合、最低限のメンテナンスで長持ちするものを選ぶといいでしょう。サビにくく耐久性の高い素材として、スレンレス鋼(ダマスカス鋼を含む)があります。
鋼を錆びないようにするためには毎日のお手入れが必要ですね。
また、ハンドルと刃の間に口金が付いているものをおすすめします。水や汚れがハンドルの中に入りにくいため洗いやすく、ハンドルを清潔に保ち、長持ちさせることができます。ハンドルにもステンレス鋼を使ったオールステンレスの包丁は食器洗浄機でも洗えるというメリットがあります。