おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

観葉植物を元気に長く
育てるための基本
(2時間目)

July 24. 2025(Thu.)

1時間目では、観葉植物と暮らす魅力や初心者におすすめの観葉植物、購入時のポイントを紹介しました。
2時間目は、観葉植物の植え替えをはじめとしたケアの方法や必要なアイテム、水やりのコツ、観葉植物の置き場所選びのポイントなどを、1時間目に引き続き、川橋さんに説明してもらいます。

garage NAGOYA 店長
川橋昌展さん
「クワズイモ」(サトイモ科の植物)に魅了されたことをきっかけに、さまざまな観葉植物の育成に熱中する子ども時代を送る。「植物と暮らす」をコンセプトとする株式会社ガレージに勤務し、「garage NAGOYA」のオープニングメンバーとして立ち上げに参加。豊富な知識を生かし、植物を迎える人に対して多岐にわたるアドバイスをおこなうほか、仕入れにも携わる。
https://garage-garden.com/shoplist/garage-nagoya/
https://www.instagram.com/garage_livingwithplants/

2時間目

植物を購入したら、お気に入りの鉢に植え替えてみよう。

観葉植物の植え替えで
必要なアイテムは?

観葉植物は2~3年に1回の頻度で植え替えの必要がないか確認するとよいでしょう。鉢底の穴から根がたくさん出ている、また土の表面まで根が張り、土が掘れないような状態であれば根詰まりを起こしているサインです。そのような時には植え替えをすることで長く元気に育てることができます。植え替えには、鉢、トレイ、鉢底に敷いて砂利の流出や虫の侵入を防ぐためのネット、砂利、土を用意します。

鉢は、あまりに大きいと水はけが悪くなりますし、小さすぎると窮屈になってしまいます。例えば小型のポットを植え替えるなら、一回り大きいサイズの鉢を選ぶといったように、必ず植物の都合に合わせて選ぶこと。これが大切なポイントです。土は、ホームセンターや専門店で販売されている観葉植物専用のものを選びます。

植え込みの際は、手に怪我などをしていなくて、特に気にならないようであれば素手でも大丈夫です。もちろん軍手やゴム手袋を使っても問題ありません。ただ、手を覆うものをつけると、気づかぬうちに根を強く触ってしまうことも。人間だって肌をタオルでゴシゴシされると痛く感じますよね。植物も同じで、根など繊細な部分に触れるときは、傷つけないように優しく触れることを意識しましょう。

植え替えに挑戦!

1.鉢の底にネットを敷いて、砂利を2cm程度敷き詰めます。
2.次に、植え替える観葉植物の株元が、鉢の縁から2~3cm下になるように土を入れます(株元の高さが十分あれば土を下に敷く必要はありません)。
3.下準備ができたら、ポットから苗を抜きます。この時、小型のものなら指をVの字にして株元を挟んでから、ひっくり返す要領で抜くのがポイント。
4.苗を抜いたら、根を崩さないように注意しながら、ポットに接していた土を優しくほぐします。こうすることで、新しい土に根が馴染みやすくなります。ただ、あまりほぐしすぎると、根を傷める原因になるので気をつけましょう。
5.鉢に4.を入れ、土を盛っていきます。鉢のデザインによっては、植え替える際には、枝ぶりなどを見て正面となる位置を決めてあげます。
6.しっかり鉢の奥まで土が入り込むように、表面の土を指で押し込んでいきます。こうすることで、苗がグラグラとしなくなり、根張も良くなります。押し込んで土が足りなくなったら、適宜足していきましょう。
7.土の表面部分に軽い小石などを敷くと、インテリア性がアップするだけでなく、雑草が生えるのも防ぎやすくなります。

水やりのコツは、土の状態の確認と
“下準備”にあり!

観葉植物が元気でいるために重要なことのひとつが、水やりです。室内は空気の対流が少なく水分が蒸発しにくいので、毎日水やりする必要はありません。目安となるのは、土の状態です。3〜4日に1回指で、できれば1〜2cm掘るようにして土を触ります。この時、土が乾いていれば水やりのタイミングです。反対に、濡れた感触があるなら水やりはやめておきましょう。

土は乾くと収縮するので、水やりに適したタイミングには鉢のふちに数ミリ隙間ができます。隙間をつたって水が流れ落ちるのを防ぐために、必ず隙間を埋めるように指でならしてから、たっぷり水をあげて鉢全体に水を十分に行き渡らせます。

一方で、葉が元気に成長するためには乾燥は大敵。葉の表と裏には、しっかり霧吹きをかけてあげます。霧吹きをすると虫の予防にもなりますよ。霧吹きは100円ショップで売っているもの、じょうろもペットボトルやヤカンで代用して問題ありません。ただ、日々使うものなので、見た目や性能にこだわるのも楽しいですよ。

それと、水やりと霧吹きで意外と見落としがちなのが、水の温度です。人間も、寒い日の冷水は苦手ですよね。植物も同じで、水が冷たいと根や葉がびっくりしてしまいます。冬場はお湯を足すなどして常温にした水をあげましょう。あらかじめペットボトルに汲み置きしておくのもおすすめです。

明るければOKとは限らない!?
置き場所選びのポイント

観葉植物は、レースのカーテン越しの日光が入る場所に置くのが基本です。植物は光合成をする生き物なので、当然ながら光が欠かせません。レース越しなら紫外線がある程度カットされるので、葉への影響も軽減できます。同じ窓辺でも、朝から午前中まで光が入る東側は最も適していて、反対に直射日光が当たらない北側は、植物にとっては十分な明るさがあるとはいえません。

光が足りないと、弱ってしまうことも考えられます。どうしても常に日当たりの良い窓辺に置くのが難しいのなら、外気温差の影響が少なく新芽が出やすい春や秋に、3週間ほど窓辺に置いて太陽の光を浴びさせましょう。そうすることで新芽が十分に成長しエネルギーが蓄えられるので、日当たりの良くない場所に移っても元気を保ちやすくなります。

いつも窓辺に観葉植物を置いている場合にも、初夏など半袖で過ごしやすい気候には、外に出してあげると、より元気になりますよ。ただし、屋外で直射日光を浴びせると葉が焼けてしまうので、外に出す際は直射日光が当たらない、明るい日陰に置くようにしましょう。

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