知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
趣味で始めるレザークラフト
革製品の魅力を深堀り(1時間目)
April 11. 2024(Thu.)
財布や名刺入れ、手帳など、普段から革製品を使っている人は多いのではないでしょうか。革製品を自作するのは難しいというイメージがあるかもしれませんが、基本をマスターすれば、小物であれば初心者でも手軽に楽しめるため、大人の趣味としておすすめです。レザークラフトについていろいろ教えていただいたのは、愛知県名古屋市にある皮革材料専門店「愛産商会(Craft Shop AISAN)」の渡邉翔太さん。1時間目は、レザークラフトの魅力について伺いました。
- 愛産商会(Craft Shop AISAN)
- 渡邉翔太
- 1950年創業の皮革材料専門店「愛産商会(Craft Shop AISAN)」。皮革材料全般の販売や各種加工、OEMのほか、革製品の自社ブランド「Scelta(シエルタ)」を展開。レザークラフトの基本技術が学べるワークショップも開催している。渡邉翔太さんは、もともとお客として通っていたことがきっかけで入社。「レザークラフトでものづくりをするとき、そしてお店で革製品を買う際には、素材がどこからやってくるのかということを正しく理解していただいて、サステナブルな活動の輪に加わって欲しい」という想いで店頭や催事に立ち、革製品の魅力を広く伝えている。
- https://www.aisan-shoukai.co.jp/
使い込むと味が出る
“一生モノ”のアイテム
革製品は耐久性が高く、大切に使えば“一生モノ”に。
上質で重厚感があることから、大人の嗜みとして愛用している人も多いと思います。
革製品が愛される理由のひとつは、使っていくうちに表情が変わることにあります。
最初はベージュ色だったヌメ革が、時とともに飴色に。摩擦や手の脂などにより革の表面に艶が出て、色合いが変化します。さらに、最初は硬かった革は使ううちにだんだんと柔らかくなり、しなやかに手に馴染むように。キズや汚れも味わいとなり、使えば使うほど個性が出て、愛着が湧いてくるのです。
革の種類と
特徴をおさらい
革製品は、牛革や豚革をはじめ、羊やワニ、エイまで多くの動物の革を使ったものが流通しています。
さらに、同じ牛革であっても、部位や加工方法によって風合いや特徴は多種多様。経年変化を楽しめるヌメ革、耐久性や耐熱性に優れたクロム革、柔らかい手触りのスエード革というように、自分の好みや用途により選ぶことができます。
また、革には、切る、縫う、貼る、削る、磨くなどの工程を通して、手を加えることができるという特徴があります。布よりも丈夫なため、バッグや小物入れ、ベルトなど、さまざまなアイテムに欠かせない素材となっています。
革製品にとって水は大敵とのイメージがありますが、革を濡らした状態で立体を成形し、その後乾燥させると形状が維持されます。水をうまく使うことで、写真2枚目(※)にあるような、芸術性の高い造形や立体的なケース(写真3枚目)を作ることもできます。
※愛産商会の自社ブランド「Scelta(シエルタ)」のオリジナル商品・革の薔薇「レザーローズ」
初心者におすすめの
レザークラフト
このように革という素材は、さまざまなものづくりに活用できるのです。
レザークラフトの世界に足を踏み入れたのは、「文庫本にジャストフィットするブックカバーがほしい」と思ったことがきっかけです。自作なら、好みのサイズに調節でき、使い勝手がよくなるようにアレンジもできます。財布や名刺入れ、カードケース、タブレットケース、メモパッド、クラッチバックまで、あらゆるアイテムを自分で作っています。
初心者には、写真のようなカードケースなど、平面に近い形でパーツの数が少ないタイプから始めるのがおすすめです。まずはシンプルなものに挑戦して、基本の手縫いをマスターしましょう。
裁断するときに曲がってしまったり、縫い方を間違えてしまったり、道具で傷をつけてしまったりするかもしれませんが、失敗の跡も味わいの一つになります。気負わずに楽しんでください。
革製品は高級感もあるため、贈りものにしてもよろこばれますよ。