知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
スマホのカメラで素敵な写真が撮れる!~キホンとコツ編1~
(1時間目)
January 09. 2025(Thu.)
「スマ-トフォンのカメラを使ってはいるけれど、いまいちパッとしない」とお困りの方も多いのではないでしょうか。そこで今回はさまざまなメディアで活躍するフリーカメラマン・高島裕介さんと、SNSで多くのフォロワーを持ち、SNSの運用やコンサルティングでご活躍中のかにぃさんに、スマートフォン撮影の基本について教えていただきます。まず1、2時間目は、高島さんに写真の撮り方の基本とコツについてお話を聞きました。
- フリーカメラマン
- 高島裕介
- 1973年東京都出身。学生時代に写真に興味を持ち、写真専門学校に進学。卒業後スタジオ勤務を経て、27歳でフリーランスとなる。企業の広告やグルメ雑誌の撮影を中心に活躍。「交流Style」の撮影にも長年携わっている。
「ほんのひと工夫」が写真の質を劇的に変える
スマートフォンカメラの性能は年々進化を続けていて、クオリティの高い写真を気軽に撮れる時代になりました。
一方、スマートフォンの性能が上がるにつれて、「カメラ機能をいまいち使いこなせていない」と感じるようになった方も多いのではないでしょうか?
写真を上手に撮るコツは「ほんのひと工夫を加えること」。ポケットやバッグからスマートフォンを取り出して、その場でシャッターを押すだけでなく、カメラの設定を少し変えたり、自分の足を使ってアングルを変えたりするだけで、写真のクオリティは劇的に向上します。ぜひこれから紹介する内容を試してみてください。
「足」を使って構図を探る習慣を
写真のよし悪しを決める最も基本的な要素が「構図」です。1枚目左側の写真は、主題である花壇のアーチを中央に配置することばかりに気を取られ、後ろの建物や前の柵が映り込んでしまった例。被写体ばかりでなく写真の「四隅」に気を配りつつ、足を使って最良のアングルを探す習慣を身につけるのは上達への近道。1枚目右側の写真は、左側の写真撮影場所から、少し立つ位置を変えるだけで、とてもスッキリして主題が伝わりやすい写真になりました。そのほかのテクニックとして、ズームレンズが搭載されている場合はズーム機能を使って構図を探るのもよいでしょう。
もうひとつ構図をつくるうえで役に立つのが「グリッド表示」。カメラアプリの設定画面からこの設定をオンにすると、画面を上下左右にそれぞれ3つずつ、計9分割する線が表示されます。被写体を画面上に表示される「4つの交点(写真2枚目の赤丸部分)」におさめると、主題がはっきりした、まとまりのある写真に仕上がります。水平垂直に撮影する上での手助けにもなりますので、積極的に利用したいですね。
広角のまま撮影せず「ズーム」を意識する
レストランやカフェで、料理やスイーツを撮影する機会もとても増えました。上手に撮影するには、ここでも「ひと工夫」が大切です。
少し専門的になりますが、人間の目で見た感覚に近いレンズを標準レンズと呼びます。その標準レンズは焦点距離にすると約50mm。それ以下になると広角に、それ以上だと望遠になります。スマートフォンの機種によって違いますが、そのままカメラを立ち上げた時の焦点距離は24mmから35mmほど。つまり、カメラを起動したとき、基本の設定として広角に写るように設定されている場合がほとんどなのです。
料理に近づいて撮りたい時には「カメラを被写体に寄せればよいのでは?」と思うかもしれませんが、広角に撮影すればするほど写真の端と端が歪んでしまうというデメリットが生じてしまうのです。上の写真1枚目は広角で撮影したものですが、右端にあるグラスが不自然に斜めに傾き、歪んで見えます。また、お皿の下の部分が下に向かって伸びて見えます。お持ちのスマートフォンのカメラが24mmの場合約2倍にズームすれば、歪みが軽減され見たままの感覚に近づけることができます。
「でもズームをすると画質が落ちるんじゃない?」と心配な方もいるかと思います。そんな方におすすめなのが、お持ちの機種の「光学ズーム」対応倍率を確認すること。光学ズームとは、レンズ自体を動かすことにより、画質を維持したまま被写体に寄った撮影が可能なズーム機能です。例えば「光学2倍ズーム」なら、2倍のズームまでは画質を落とすことなく撮影可能ということになります。
少し専門的になりましたが、ご自身の機種の特徴を確認しながら、ズーム機能を上手く使ってみてくださいね。
適正な「暖かみ」にすることで料理やスイーツをおいしそうに
「暖かみ」(ホワイトバランス、色温度)を調整して、おいしそうに見える写真へ変身させましょう。店内の電球色や自然光の影響を受けて、本来白いショートケーキが2枚目の写真のように、青色っぽくなってしまったり、黄色っぽくなってしまったりすることがあります。
適正な「暖かみ」に調整してから撮影することで、よりおいしそうに撮影することができます。あとから補正することもできますが、この「暖かみ」という言葉を知っているだけでも写真のスキルが向上するはずです。