知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
日本酒の種類を知ろう
(1時間目)
November 14. 2024(Thu.)
「日本酒は嗜むけれど、選び方がわからない!」や「日本酒の味わいが好きなので、どんな種類があるのかきちんと知りたい」という声にお応えして、今回は日本酒について学ぶ“おとなの相談室”です。1時間目は、日本酒にまつわるベーシックな知識を、林酒造株式会社代表取締役の林伊兵衛さんに教えていただきました。
- 林酒造株式会社 代表取締役 クッキングサロンYOKO 主宰
- 林伊兵衛さん 林容子さん
- 岐阜県可児市にある林酒造は、1874年(明治7年)創業の150年続く老舗酒蔵で、清酒「富興」や「美濃天狗」などの銘柄で長く親しまれている。林伊兵衛氏は、林家の12代目当主。林容子氏は、伊兵衛氏の実姉で、生家である林酒造の酒蔵の一角で料理教室を主宰(愛知県名古屋市・三重県菰野町でも教室開講)。日本酒と家庭料理の組み合わせには定評がある。
- https://www.minotengu.co.jp
- https://www.yokosalon.com
吟醸酒・純米酒・本醸造酒の
3つを覚える
日本酒の種類は、お米の精米歩合や原料などの条件を満たした「特定名称酒」と、その条件には分類されない、比較的手頃な価格でパック酒などとして売られることの多い「普通酒」があり、その違いは造り方が基準になっています。
ここでは、日本酒の基礎という意味で「特定名称酒」について説明していきましょう。特定名称酒は、原料によって主に以下の3つに分類されます。
吟醸酒…精米歩合60%以下の白米・米麹・水を原料にしています。醸造アルコールが添加されたタイプ。
純米酒…精米歩合に規定はなく、白米・米麹・水だけで造られたお酒です。
本醸造酒…精米歩合70%以下の白米・米麹・醸造アルコール・水を原料に造られた酒です。
さらに、精米歩合や醸造用アルコールが入っているかどうかによって、8種類に分類されますが、まずは初心者向けの知識として、上記の吟醸酒・純米酒・本醸造酒の3種類を覚えていきましょう。
吟醸酒とは?
吟醸酒は、精米歩合60%以下の白米を原料とし、低温で長期間発酵させて造られます。大吟醸酒と呼ばれるものは、さらに精米歩合50%以下の白米が使われています。
フレッシュで華やかな香り、すっきりとした味わいが、一般的な特徴といわれていますが、中には濃厚なタイプもあります。吟醸酒の果物を思わせる爽やかな香りのことを、吟醸香(ぎんじょうこう)と呼びます。
純米酒とは?
米・米麹・水だけで造られた酒のことを、文字通り「純米酒」と呼びます。吟醸酒や本醸造は醸造用アルコールを添加するのに対して、純米酒は、米そのものの旨味やふくよかな味わいなどが大きな特徴です。
軽やかなタイプから濃厚なものまで、さまざまな酒質の純米酒が造られており、酒蔵ごとに味わいが異なるのも面白いポイントです。ちなみに、原料が米・米麹・水だけで、吟醸酒の精米歩合の条件を満たしたもののうち、精米歩合が60%以下のものは純米吟醸、50%以下のものが純米大吟醸と区分けされています。
本醸造酒とは?
本醸造酒は精米歩合70%以下の米を原料にして造られた酒で、味のバランスを整えるために、醸造用アルコールを添加しています。
この醸造用アルコールの添加量は、原料である白米の10%未満とすることが決められており、前述の「普通酒」との大きな違いとなっています。