おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

実は好相性
シェリー酒とスイーツ
驚きのペアリング!
あのお酒にこのメニュー
(3時間目)

March 29. 2023(Wed.)

ー1時間目の記事はこちら
ウイスキーに合う意外な”甘味”驚きのペアリング!あのお酒にこのメニュー(1時間目)
ー2時間目の記事はこちら
新しい常識?鮨にテキーラ驚きのペアリング!あのお酒にこのメニュー(2時間目)

おいしいお酒をもっとおいしく楽しむために、お酒に合った食事や食材を選びたい。なおかつ自宅で嗜めるともっと良い! そんな望みを叶えてくれる素敵なマリアージュの情報を3回にわたってお届け。
3回目の今回は、洋菓子とシェリー酒の組み合わせについて、アジアを代表するシェリー酒の専門家の中瀬航也さんにお話を伺った。

撮影協力/Bar Chœur(愛知県名古屋市)
https://www.choeur.jp/

Bar Sherry Museumオーナー
中瀬 航也
東京・Bar Sherry Museumオーナー。公認シェリー酒名誉男爵、公認名誉ヴェネンシアドール(※)、公認コルタド―ル・デ・ハモン。 専門はシェリー酒、研究分野は洋酒史全般、醸造学、宗教とお酒など。※長い柄にカップをつけたようなベネンシアという道具で、樽からシェリーを掬い注ぐ専門職の称号
https://ameblo.jp/catador/
https://www.facebook.com/SherryMuseum

3時間目
洋菓子には、
紅茶ならぬシェリー酒で

さまざまな種類がある
ワインの一種

シェリー酒は、スペイン・アンダルシア地方ヘレスで作られるワインの一種。白葡萄のみで造られる白ワインの一種ですが、糖分がゼロの辛口から、シロップと間違えるほど甘口のものもあり、幅広い嗜好に合うさまざまなタイプ(製法)があります。

今回ご紹介するシェリー酒は4種類。
一番左が、辛口タイプの「フィノ」。油分と糖分が少なく、クリームやバターなど油種の多い菓子にも相性抜群。
その隣が、フィノを熟成させた「アモンティリャード」。熟成から生まれるナッツ系の香気成分が焼き菓子の良さを引き立てます。
そして右から2番目は、コクのある熟成タイプの「オロロソ」。チーズなどの発酵食品、またカラメリーなものやチョコを用いたお菓子との相性が抜群です。
一番右が干しブドウで造る濃厚な「ペドロヒメネス(PX)」。ソースのごとく焼き菓子やアイスなどを引き立ててくれます。

シュークリームには
辛口のフィノシェリーを
−クリーム感を
より引き立てる味わい−

辛口タイプの「フィノ」とクリームやバターなどの油脂の多い洋菓子という組み合わせは、一見違和感がありそうですが、さっぱりとした相性で、なぜか気分が晴れるような気がしてきますよ。
ぜひお試しください。

ナッツのタルトと
アモンティリャードシェリー
−折り紙付きの好相性−

前述のフィノシェリーをさらに熟成させた「アモンティリャード」は、長い時間をかけて熟成と脱水を繰り返します。その色はトパーズのような美しいゴールドで、ナッツのような香味を形成していきます。
同じ香りを持ったお菓子との相性は折り紙付きです。

チーズケーキには
オロロソシェリーで
−イメージはチーズケーキのベリーソースがけ−

「オロロソ」は、シェリー界の辛口ソースとも言うべき存在。ドライなベリーソースのようであり、どこか醤油を思わせます。
長期熟成したシェリーには普通のワインにはない香味があります。その香りもまた発酵系乳製品との相性を良くしています。チーズケーキとの相性は抜群ですよ。

ペドロヒメネスシェリーには
カヌレを
−まるで遠い親戚同士のように
自然に馴染む−

カヌレのバニラやラム酒の香味は、樽熟成したお酒やカラメルにも似ています。ヨーロッパで理想的な干しブドウを作ることができる唯一の産地がスペイン・アンダルシア。その干しブドウの果汁を樽で熟成させます。樽からバニラ成分を引き出してできる「ペドロヒメネス」は、カヌレとは遠い親戚のような感覚で馴染みます。


日本では1611年(慶長16年)に初めて飲まれ、日本の宮中でも欠かせないお酒「シェリー」。まずはティータイムや週末のくつろぎに、「アモンティリャード」を飲んでみてください。グラスはボウル部分の丸みがオレンジぐらいの大きさのものがオススメです。
これを機に、普段のお食事からお菓子にまで合う稀有なワイン「シェリー」を楽しんでみてはいかがでしょう。

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