おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

地域の「食」を知るなら、
ご当地スーパーへ!
(1時間目)

August 25. 2025(Mon.)

住んでいる地域のスーパーマーケットを、地域性という観点で見てみたことはありますか? スーパーマーケットには、その地域特有の伝統食や地域限定の食品などが並んでいることがあります。「スーパーはお宝の山!」 と話すのは、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さん。菅原さんに、中部地域のスーパーマーケットやご当地スーパーと呼ばれる店舗の楽しみ方を披露していただきます。

撮影協力/ファミリーストアさとう 国分寺店(岐阜県高山市)
https://www.tokutokusatou.com/company/shop/#kokubunji/

スーパーマーケット研究家
菅原佳己
全国のご当地スーパーを自身で巡り、その魅力を本にまとめ、専業主婦からスーパーマーケット研究家の道へ。中部地域には合計16年暮らし「東海ご当地スーパー 珠玉の日常食」(ぴあMOOK中部)を2018年に出版。『マツコの知らない世界』(TBS系)では、各地のスーパーの名品を紹介し、ご当地スーパーブームの火付け役となった。現在は、執筆・マスコミ出演・講演などの活動をおこないながら全国のスーパーマーケットに自ら足を運び、日常食の発掘とその魅力を伝えている。著作多数。近著に「47都道府県 日本の地元食大全」(平凡社)
https://www.gotouchisuper.online
https://www.instagram.com/i_love_supermarket/

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ご当地スーパーの魅力とは?

ご当地スーパーの定義は?

「ご当地スーパー」という言葉は、スーパーマーケットの業界ではほとんど使われておらず、公式の定義はありません。でも、旅先などで訪れたスーパーマーケットで豊かな地域性を感じ取った経験がある方であれば、どのようなスーパーのことなのか、なんとなく感覚的に理解できるのではないでしょうか?

スーパーマーケット研究家の立場として、あえて定義させていただくなら、
1.市内・県内、あるいは限られた地域のみで展開しているスーパーマーケット
2.ご当地食が豊富な、地元発祥のスーパーマーケット
このどちらかが当てはまれば、ご当地スーパーと呼んでいいと考えています。例えば、ご当地食は販売していなくても、県内では1店舗のみでこだわった品揃えをしていれば、それはご当地スーパーです。逆に、ご当地食のラインアップが豊富だったとしても、全国展開している店舗の場合は(実際にはそのような例を見たことはありませんが)、ご当地スーパーのカテゴリーには入らないと思います。

ご当地スーパーに魅せられたきっかけ

これまで転居が多く日本の各地で暮らした経験があり、中部地域には合計で16年住んでいました。初めて愛知県に住んだ際、マンションの目の前にスーパーマーケットがあり、そこでなんとも言えない違和感を覚えました。その理由は、ご当地色が豊かな品揃えで、東京出身の自分が知らない地域の品を多く扱っていたからでした。
味噌の売り場は、やたらと広くて視界に入る色味が黒い印象で、おせんべい売り場には、海老せんべいばかりが並んでいる。外から来た者にとっては、見慣れない光景でした。
地域ならではの季節商品にも驚きました。例えば、ひな祭りの「おこしもの」※1や端午の節句の「黄飯(おうはん)」※2などが並んでいました。

これらの体験がきっかけで、その地域ならではの「食」を扱うご当地スーパーの面白さを知り、いつしかご当地食を探す旅をはじめていました。

※1 米粉を熱湯で練って型にはめ、取り出したものに色粉をつけて彩る、桃の節句のお雛様に供えられる郷土菓子。
※2 もち米をくちなしの実とともに水に浸して、黒豆と一緒に炊きこむことで黄色く染まるおこわ

売り場面積でわかる地域食

ご当地スーパーの売場には地域の食文化が表れていることに気づいてからは、その魅力にすっかりハマっていきました。

具体的には、ひとつの商品ジャンルにおける売り場面積に注目するのです。特定の商品の売り場面積が広い場合、その商品は地域で長く広く愛されている証拠!
「愛知県の店舗では味噌」、「長野県では野沢菜をはじめとする漬物」など売り場面積が広い商品は、その地域の人々が「毎日食べても飽きないもの」なのです。

初めて訪れる場所では、ぜひスーパーマーケットに行って売り場面積が広い商品をチェックしてみてください。地域食が見えてくると思いますよ。

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