おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

心整う
編み物を始めよう!
(1時間目)

November 18. 2025(Tue.)

世代や性別を問わず人気の編み物。スローファッションや推し活などの流行と相まって、新たに挑戦する人が増えているといいます。また最近では、編むことに集中することがリフレッシュにつながるなど、心を整えるのにも役立つ趣味として、注目を集めています。
1時間目の今回は、編み物作家としても活動する「RRR MATERIAL PROJECT(アール・マテリアル・プロジェクト)」の時田ミリさんに、編むことに向き合う時間の良さや、素材の魅力を紹介いただきました。

撮影協力/Re-TAiL(リテイル)
http://re-tail.jp/

RRR MATERIAL PROJECT(アール・マテリアル・プロジェクト)スタッフ
時田ミリさん
手芸好きの祖母、母の影響で子どもの頃から手芸に関心を持ち、高校・大学では服飾を専門に学ぶ。アパレルメーカーでパタンナーを経験した後、愛知県一宮市の株式会社リテイルに就職し、サンプル・デッドストック素材を販売する「RRR MATERIAL PROJECT」のスタッフに。オリジナルのニットアイテムを制作する編み物作家としても活動中で、編み物に挑戦するきっかけや、編み物を通じた交流を育むニットカフェを主宰する。
http://rrr-material.jp/
https://www.instagram.com/rrr_material/

1時間目

まずは気軽に編んでみよう!

無心で手を動かすと、心が整理される

編み物の魅力は、1つに絞りきれないほどたくさんあります。必要な材料、道具は100円ショップでも手に入るので、気軽に始めやすいですし、最近では自分でつくったアイテムや、出来上がる過程をSNSで紹介する人も多く、「自分もつくってみたい!」と挑戦する人が増えている印象です。
また、糸があれば小物からブランケットなど大きなものまで、さまざまなアイテムを生み出せるのも、編み物ならでは。自分の手で作品をつくり上げる達成感は、かけがえのないものだと思います。

アイテムができあがるまでの「時間」も、編み物の魅力です。慣れてくると手が動きを覚え、ただただ編むことに集中できるようになります。目の前のことにグッと集中する感覚は、ほかではなかなか味わえないもの。また、糸を編む動作はリズムが一定なので、気持ちも落ち着きやすいのかもしれません。編み終えるとちょっと気分がスッキリする、なんてこともあるんですよ。

スキマ時間に「編む」を取り入れ
自分と向き合うひとときに

編み物は材料と道具さえあれば、どんな場所でもできます。編み物で使う針は先端が丸く、針先がうっかり手や指に刺さってしまうといったことはありません。小物のアイテムであれば膝上で編めるので、例えば通勤・通学など電車やバスの移動中に座席に座って編むという人もいます。スキマの時間に編み物を取り入れることで、気持ちの切り替えにも役立てられると思います。ほんの数分でも編めば、完成に一歩近づけるので、仕事や家事のちょっとした合間に編むだけでも、達成感が得られ、心が整います。

編み物に興味はあるけれど、つくりたいものが思い浮かばない方は、まずは「編む時間を楽しむ」ことから始めてみてはどうでしょうか。グッと集中する、いわば「無心の時間」は、自分の内面と向き合える時間でもあります。私自身、編んでいる時に最近の出来事を振り返ったり、気持ちを整理したりしています。無心になるからこそ、自分の心の内にある思いや考えに向き合いやすくなるのかもしれません。「自分と向き合う時間が取れていないな」と思う方にも、編み物はおすすめです。

個性豊かな「糸」も魅力のひとつ

一口に糸といっても、太さや見た目などは千差万別です。原料も、羊など動物の毛をはじめ、自然素材の麻やコットン、アクリルなどさまざま。「毛●%、アクリル●%」と異なる素材を組み合わせたものや、グラデーションで染色(かすり染め)されたものもあります。柔らかい毛足のものや、太さがまばらなもの、不織布をより合わせたものなど、形状のバリエーションも豊富です。
使用する糸の色や太さ、手触りによって、仕上がりの印象はガラリと変わります。写真のハートのチャームは、基本的にすべて同じ編み方で編んでいます。黒は大人っぽく、ピンクが混ざったものは可愛らしい印象に仕上がります。目指す仕上がりに合う糸を選ぶのはもちろん、仕上がりが想像できない糸を使ってみるのも、新たな発見があって面白いですよ。

編み物から少し話がそれますが、かわいい見た目の糸もたくさんあるので、ラッピングなどに使用する人も多いです。例えばプレゼントを贈る際にリボンの代わりに使うなど。異なる種類の糸を組み合わせると、より表情が豊かになります。同系色で異素材の糸を合わせたり、同じ素材で異なる色の糸を合わせたりと、贈る人をイメージしながら、組み合わせを楽むこともできます。
それほど、糸は多彩で魅力があるのです。

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