知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
日本酒と料理のペアリング
(3時間目)
November 28. 2024(Thu.)
1時間目では日本酒の基礎知識を、2時間目では日本酒を楽しむ実践術について、学んできました。最終回では、毎日の食卓に並ぶ家庭料理に、日本酒をどう選び、合わせていけばいいかを学びます。日本酒と家庭料理の組み合わせを長く実践してきた、料理研究家・林容子さんに、料理と日本酒、日本酒と器について教えていただきましょう。
ー1時間目の記事はこちら
日本酒の種類を知ろう(1時間目)
ー2時間目の記事はこちら
日本酒はどうやって選べばいいの?(2時間目)
- 林酒造株式会社 代表取締役 クッキングサロンYOKO 主宰
- 林伊兵衛さん 林容子さん
- 岐阜県可児市にある林酒造は、1874年(明治7年)創業の150年続く老舗酒蔵で、清酒「富興」や「美濃天狗」などの銘柄で長く親しまれている。林伊兵衛氏は、林家の12代目当主。林容子氏は、伊兵衛氏の実姉で、生家である林酒造の酒蔵の一角で料理教室を主宰(愛知県名古屋市・三重県菰野町でも教室開講)。日本酒と家庭料理の組み合わせには定評がある。
- https://www.minotengu.co.jp
- https://www.yokosalon.com
酒器を楽しむ!
日本酒は、飲むだけではなく、器を選んでお皿との組み合わせるのも楽しみのひとつです。1時間目で学んだ3つの日本酒の味わいにそれぞれ合う酒器を紹介しましょう。
吟醸酒/ガラスや陶器で、飲み口が薄いものがよく合います。
純米酒/ガラス・陶器・漆器で、飲み口がすこし厚めがよく合います。
本醸造酒/全体にどっしりした陶器や漆器で、飲み口が厚めのぽってり型がよく合います。
酒器を意識してみることもお酒を嗜む面白さにつながります。ウイスキーを飲むショットグラスで吟醸酒を飲んだり、大振りのワイングラスで炭酸割にしたり。酒器の種類を揃えたくなりますよ。
家庭料理と
日本酒をペアリング
お友達や親戚が集まる時には、人数が多ければ数種類の日本酒の味比べができるので、1時間目で学んだ3種類の日本酒に合わせて、家庭料理でおもてなしをしてみてはいかがでしょうか。
吟醸酒/前菜系やサラダなどに合わせます。スッキリしたタイプが多いので、料理のはじまりのメニューによく合います。(ここでは、にんじんラペ・アボカド納豆を紹介)
純米酒/お刺身やカルパッチョなど、生の魚を使った料理や、鍋料理、出汁がよくきいた煮物や炊き合わせなどによく合います。(ここでは、ホタテのカルパッチョ・こんにゃくのバター炒めを紹介)
本醸造酒/醤油やみりんを使った煮物、揚げ物、鍋料理全般などに合います。(ここでは、ささがきごぼうと牛肉のさっと煮・手羽先唐揚げを紹介)
また1種類の日本酒で料理と合わせる場合には、最初は炭酸割やロックで少し「冷やして」、途中で「常温」に、最後にちょっと温めて「ぬる燗」の3段階で味の変化を楽しんでみてください。
日本酒が余ったら!?
日本酒が飲みきれずに余ってしまったら…。料理にどんどん使っていきましょう。
料理レシピの材料に、「水」と記載されていたら、その分量を日本酒に替えて、加熱してアルコールを飛ばしてから使えば大丈夫ですよ。日本酒は、魚をふっくらと、肉をやわらかくする効果があり、煮物・焼き物など応用範囲が広いのです。お味噌汁に入れるのもおすすめですし、冬ならお鍋料理に入れれば、コクのある味になります。
日本酒は、アルコール飲料であり、同時に調味料でもあるということ。飲んでも「食べても」美味しいのが「日本酒」なのです。もっともっと、気軽に自由に家庭で楽しんでみてくださいね。