知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
おいしい飲み方と
保存方法
爽やかな季節に楽しむ
スパークリングワイン
(3時間目)
May 22. 2023(Mon.)
春から夏にかけて、まぶしい日差しと爽やかな風を感じたら、飲みたくなるのがスパークリングワイン。前回はスパークリングワインを家庭で楽しむ方法を教えていただいた。今回は、フランス料理レストラン「ルマルタンペシュール」のオーナーソムリエ・那須亮さんのもと、スパークリングワインのおいしい飲み方を指南していただく。
撮影協力/ルマルタンペシュール(愛知県名古屋市)
http://www.lemartin.jp
ー1時間目の記事はこちら
まずは知ろう スパークリングワインの基本 爽やかな季節に楽しむスパークリングワイン(1時間目)
ー2時間目の記事はこちら
選び方と料理とのあわせ方を学ぶ 爽やかな季節に楽しむスパークリングワイン(2時間目)
- ルマルタンペシュール オーナーソムリエ
- 那須 亮
- 全国ソムリエ最高技術賞入賞など数々の受賞歴あり。フランス・シャンパーニュ騎士団よりオフィシエ・ド・シャンパーニュのほか、フランスチーズ鑑評騎士団、ボルドー騎士団などから叙任を受けている。グラスによる味わいの違い、注ぎ方による味わいの違いなど、コアなテーマでワインをサービスする姿から、一部の顧客からは「グラスの魔術師」なる呼び名が付けられているとかいないとか。
- http://www.lemartin.jp
スパークリングワインの
おいしい温度と冷やす方法
スパークリングワインは、ぶどうの品種や種類(赤・白・ロゼなど)によって旨味や酸の感じ方が違うので、おいしく感じる温度帯も異なります。おおよその目安を覚えておき、タイミングを見て冷やしていきましょう。
3種類のスパークリングワインの適温は、カヴァロゼが10~12℃、カヴァが8~10℃、プロセッコが6~8℃です。
ワインの温度はおおよそ室温と同じと考えていいので、室温から逆算して適温に冷やしましょう。もし、ワインが冷蔵庫に入っていなかったら、ワインクーラーに氷水を入れ、そこにボトルを入れて冷やすのが一番。5分でおよそ2℃下がると言われています。さらにもっと早く冷やしたい時は、氷水に塩を加えると、氷が早く溶けるため、急速で冷やすことができます。塩は写真の量で約15gが目安です。
冷蔵庫で冷やす場合は、冷えるのに時間がかかるので、召し上がる3〜4時間前には入れるようにしましょう。
冷蔵庫で保存して良い?
ベストな保管方法
スパークリングワインを購入したら、どこで保存すればよいでしょうか?ワインは全般に温度が高い場所で保管しておくと傷んで劣化するため、室温が20℃を超えてしまいそうな時は、冷蔵庫に入れて保存することをおすすめします。
ただし、冷蔵庫はいろいろな食材の匂いが充満しています。そこで、ワインボトル全体をラップで密着させて包み、匂いがコルクを通してワインにつかないようにしましょう。
味わいを決める
グラスの選び方
さて、スパークリングワインのおいしい飲み方の最後は、ワイングラスです。
グラスの形が違えば、内径・丸み・長さなどが異なるため、舌のどの部分に最初に液体がたどりつくかも変わってきます。舌には、甘味を感じやすい部位、旨味を感じやすい部位があるため、グラスが異なれば、同じワインでもまったく違った印象を受けるということになります。
ここでは大きく分けて2種類のスパークリングワイン用のグラスを紹介します。どちらも汎用性が高いグラスなので、自分の好みやよく飲むワインのタイプを考慮して選んでください。
チューリップ型(写真上)はやわらかい味わいになるため、やさしい味がお好きな方には向いていると言えるでしょう。一方、細長い型(写真下)は、スパークリングワインの味わいが強く出ます。
同じスパークリングワインを最初はチューリップ型に注ぎ、サラダや魚などの前菜系で飲み、後半に肉や強めの味わいのメニューになったら細長い型のグラスに変えると、料理と合わせやすくなります。
このように、グラス選択による味わいの変化を楽しむのも、スパークリングワインの面白味のひとつです。
ここでお伝えしたいくつかの例をもとに、汗ばむ季節に爽快感のあるスパークリングワインで、いつもの食卓をもっと楽しく、ご家族やご友人と会話がはずむ時間を過ごしていただけましたらと思います。