中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

時代を越えて、旅人をもてなす
御福餅本家・
三重県伊勢市

May 17. 2023(Wed.)

江戸から明治へ、
そして現代へ。
変わることのないロングセラー

御福餅本家は、二見浦駅から海岸に向かう道沿いにあり、それは旅人が夫婦岩へと向かう道でもあります。夫婦岩は、日の大神と霊石・興玉神石を拝する鳥居とみなされており、さらに大しめ縄で結ばれた2つの岩(男岩・女岩)の姿から縁結びのシンボルとも言われています。夫婦岩と二見興玉神社に参拝する旅人が、御福餅本家の前の道を行き来するため、江戸時代には旅籠や茶店が建ち並んでいたのだそうです。御福餅本家もその一つで、茶店であん餅を提供していたのが現在の和菓子屋としてのルーツです。

時代の移り変わりとともに、旅人の目的も変遷していきますが、御福餅本家の職人が丁寧に作るあん餅が旅人に好評であることは、今も昔も変わりありません。
2024年以降に、喫茶スペースを併設した新社屋が完成予定。“ひとつひとつを丁寧に大切に”、その職人スピリットは令和の今も確実に引き継がれています。

米を蒸し器に入れている様子。
こしあんを練り上げている。
箱の上に書かれた「伊勢のやさしいお福わけ」は
企業理念でもある。
お福餅は丁寧にパッケージされて、
毎日約4,000箱が出荷されていく。

【店舗おすすめ】「お福餅」

会社名にもなっている「お福餅」は、御福餅本家の看板商品。創業者である小橋長右衛門が伊勢に訪れる旅人にあん餅を供したのがその始まりで、現在は北海道産小豆の「きたろまん」と北海道産もち米の「はくちょうもち」を使用しています。
お餅は歯切れが良く、なめらかなこしあんとの相性は抜群。餅とあんのベストバランスが印象的。後味がさっぱりしているので、ついもう一つと手が伸びてしまいます。日本経済新聞社による「日経POSセレクション」(※)の「その他和菓子」カテゴリーでは堂々の5年連続1位を獲得していることからも、その人気の高さがわかります。
職人さんがひとつひとつを丁寧に手詰めしていることも注目したいポイントです。最初にこしあんを2本の指でつまみ、お餅をあんの下にくるむようにして、最後に2本の指の形をあんにつけるために軽くトンと叩いて、パッケージに詰めていきます。その一連の動作がとてもリズミカルで実にあざやか。手際の良さに思わず見入ってしまいます。

※日本経済新聞社が提供する日本全国のスーパーや首都圏コンビニから毎日収集したPOSデータをもとに、食品・家庭用品の売上情報を収録した販売実績データベースで、約2,000カテゴリーの商品分類がある。

職人は、餅を一口大に切る技術「しんきり」から
最初に覚えるのだそう。
餅をくるんだ指先で「あんつけ」をして、
トンと叩いて指の跡をつける。

店舗情報

御福餅本家
江戸時代中期の1738年に、小橋長右衛門が創業。伊勢参りや熊野街道をゆく旅人に茶店であんを使ったお餅を提供したのが、そのはじまりである。手詰めで丁寧に作る商品は、地元の顧客から観光客まで、幅広く愛されている。「伊勢のやさしいお福わけ」を理念に、伊勢名物の「お福餅」をはじめとした商品で、今も昔も旅人の心とおなかを満たす存在だ。

MAP

〒519-0609三重県伊勢市二見町茶屋197‐2
電話番号:0596‐43‐3500
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