中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

92歳の現役職人も!
大正から愛される老舗
鶴の玉本舗 たつみ堂・三重県松阪市

July 09. 2025(Wed.)

看板娘は、92歳の

「なみちゃん」

1912年創業のたつみ堂は、現在の店主・高倉清司さんで3代目。初代の達三さんが親戚であった津市の和菓子屋で修行して松阪に戻り、松阪市馬喰町で創業しました。その後、本町に場所を移し、現在に至ります。
豪商のまちとして知られる松阪市には、今でもその名残が随所にあります。たつみ堂の菓子は、そうした財界の旦那衆たちからも愛されていたのでしょう。

3代目女将の江美さんにお話を伺っていると、「お店の昔話なら先代に聞くといいですよ」と2代目女将の、なみさんを紹介してくれました。御年92歳で、今も現役の和菓子職人として鶴の玉の生姜蜜の素をつくったり、店の看板娘となったりしています。

「お嫁に来てから70年、和菓子職人です」とニッコリと笑うなみさん。実は、松阪在住の方のYouTubeチャンネルに出演し話題となり、ファンがたくさんいるのだとか。なみさんに和菓子の魅力を語って欲しい、と出演依頼も届いているとのこと。店のホームページから、なみさんご出演の動画が観られるので、ぜひご覧ください。

2代目女将のなみさん(右)と、
3代目女将の江美さん(左)。
代々受け継がれた「鶴の玉」を
つくるのは3代目主人の清司さん。
豪商たちの家が双六になった版画が、
包装紙になっている。
こちらが包装紙の元になった
「松阪実業大勉強家案内双六」。
明治時代につくられた。

【店舗おすすめ】「モーちゃん饅頭」

3代目の清司さんが、「地元の素材を使った和菓子をつくろう」と開発した商品のひとつが「モーちゃん饅頭」。
地元の名物といえば松阪牛。そこで、松阪牛のしぐれ煮を和菓子に使えないかと思い、発案したのだそうです。

米粉に多気町(たきちょう)産の伊勢芋を練り込んだ生地で、こしあんと松阪牛のしぐれ煮を合わせたあんを包み、揚げたら完成。
この組み合わせは、なかなか想像できないでしょう。あんのまろやかな甘さとしぐれ煮の甘辛さの融合がとても面白い。揚げることで香ばしくもっちりとした皮と、しぐれ煮入りのあんの甘じょっぱさとのバランスも抜群です。

3代目女将の江美さんいわく「松阪牛とあんこなんてびっくりしますよね。でも美味しくて、モーびっくり!なんですよ(笑)」

こしあんの中に、牛肉のしぐれ煮を発見!
箱詰めのセット。バラ売りでも提供している。
ショーケースには季節ごとの生菓子や
上用饅頭に祝い饅頭など、地域に
根ざした和菓子がずらり。

店舗情報

鶴の玉本舗 たつみ堂
松阪市中心街の一角にある、大正元年(1912年)創業の老舗。店内には生菓子や焼き菓子、手土産にぴったりの日持ちのする菓子などが所狭しと並ぶ。地元の常連が訪れては菓子の袋を手に店をあとにする様子に、この店が地域で愛され、まちの日常に和菓子があることが伝わってくる。

Instagram
https://www.instagram.com/tsurunotama_tatsumidou/

MAP

〒515-0081三重県松阪市本町2172
電話番号:0598-21-1337
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