高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介
朝生菓子のお店として、
地域とともに
明や・愛知県一宮市
June 28. 2023(Wed.)
地元に根付く、大人気の
“まちの和菓子屋さん”
明やは、親夫婦と息子夫婦、職人さんの少人数体制で毎日“朝生菓子”を作っている和菓子店。朝生菓子とは、作ったその日のうちに食べることを前提として作られるお菓子のこと。餅などに含まれるでんぷん質は時間がたつと硬くなってしまうため、作った当日を賞味期限としており、毎朝作ることからその名前になったといわれています。
明やの創業は1989年。食品商社に勤めていた伊藤一雄さんは、お菓子を食べることも作ることも大好きだったそうで、一念発起して会社を辞めて和菓子店を開店しました。一雄さんのお父さんが機屋(はたや)を商っていたスペースを改築して和菓子屋に。看板商品である「わらび餅」を中心に、気軽に食べて欲しいと願いをこめて、大福や餅菓子などを作りはじめました。住宅街の一角で、決して目立つとは言い難い場所ですが、口コミによってすっかり人気店に。
一雄さんの息子で2代目の基児さんは学生時代からお店を手伝い始め、美味しいものを作って喜んでもらえることに面白さを感じ、父の和菓子店を継ぐ決意をしました。今では、家族4人で力を合わせて店を切り盛りしています。
基児さんは、「世代を超えて愛される和菓子を作っていきたい。安心安全なことはもちろん、小さな子どもさんが自分のおこづかいで買いに来てくれるようなお店として存在し続けたいです」と語ってくださいました。すると、ちょうどその時、近所の小学生がやってきて、お財布から小銭を出して鬼まんじゅうを買っていきました。「ごみは捨てずにここに持ってくるんだよ」と基児さん。明やの和菓子が地域と一緒に子どもたちを育てているような、あたたかい風景に出会いました。
【店舗おすすめ】「わらび餅」
明やの定番の人気商品といえば「わらび餅」。初来店のお客さまのほとんどが買っていく商品なのだそうです。
わらび粉に黒蜜を混ぜて練り上げ、バットに移します。わらび餅は、オーダーが入ってからはじめて切り出し、きな粉をまぶして箱詰めされます。一番の特徴は、香ばしいきな粉。砂糖を加えずにしっかり煎っているため、甘みはないですがキリッとした香ばしさがとても印象的です。黒蜜のコクと弾力のあるわらび餅に、和えたての香ばしい煎りの深いきな粉が加わるので、甘味を食べているのに食後感がスッキリ!
「甘いものが苦手、とおっしゃるお客さまにも人気です。お酒とも合うかもしれませんね」と基児さん。箱詰め直前に、わらび餅にきな粉をまぶすのは、きな粉が水分を吸ってベタっとなるのを防ぐためなのだとか。スッキリとした食後感は、すべて計算して丁寧に作る職人技だからこそ出せるものです。
店舗情報
- 明や(あけや)
- 一宮市の西部、閑静な住宅街の一角にある和菓子店。地元の常連客がひっきりなしに訪れて、店内はいつも賑わっている。人気の「わらび餅」はもちろん、「枝豆ぶんたこ」などの季節商品は、まとまった数の注文の場合は事前に電話予約を入れておいた方が無難だ。喫茶コーナーもあり、店内でしか味わえない商品もあるので、ぜひ利用したい。