中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

栗菓子をつくり続けて
200年超
桜井甘精堂(さくらいかんせいどう)
・長野県上高井郡小布施町

October 18. 2023(Wed.)

栗のことならなんでも分かる!
さながら栗の博物館

初代である桜井幾右衛門(さくらいいくえもん)が栗を粉にして落雁というお菓子をつくったのが、小布施(おぶせ)の栗菓子の誕生でした。さらに、幾右衛門の弟・武右衛門は小豆あんを用いず、栗でようかんをつくります。
1820年、松代藩が将軍家に小布施の栗を献上し、そこから小布施栗が有名になっていきました。明治になると5代目が栗と栗あんだけの栗かのこを発表し、名実ともに栗菓子専門の和菓子屋として全国にその名を知られるようになっていきます。
2019年には、栗ようかんをつくり始めてから200年という節目を迎えました。時代は移り変わっても、栗菓子づくりの基本は変えず、栗の風味と味わいをそのまま美味しく仕上げたお菓子が日々生まれています。
本店内には、「栗の木ひろば」というコーナーが設けられており、そこでは栗に関するさまざまな知識や桜井甘精堂の歴史について学ぶことができます。
例えば、私たちが食べている部分は栗の“種”であることはご存知ですか? 外側のイガが皮にあたり、一般的に栗の皮と呼ばれる硬い部分が果肉、渋皮のついた中身は種なのだそうです。そんなトリビアネタがいくつも紹介されていて、さながら栗の博物館のようです。

本店の休憩コーナー。テーブルは栗の木でできている。
包装紙やロゴマークは、
商業デザイナー・鳥居敬一氏によるもの。
紙袋にデザインされた栗のイラストも鳥居敬一氏の作品。
本店の一角に設けられた「栗の木ひろば」

【店舗おすすめ】
「純 栗ようかん」

櫻井甘精堂の代名詞ともいえるのが、「純 栗ようかん」。前述の「栗楽甘」の“基”になっているお菓子です。
国産の栗に、砂糖と寒天を加えて、丁寧に練り上げ固めたもの。「純」とついているのは、200年変わらぬシンプルな材料と伝統の味を次代へとつなげていく意思の表れなのでしょうか。
栗を蒸し、漉して栗粉にする。砂糖を加え、寒天を入れて練る。この工程のどこにも手抜きをせず、職人が丁寧に仕上げていきます。
印象的なデザインのパッケージとともに、小布施を代表する銘菓のひとつとして、幅広い年代から人気を得ています。

栗ようかんのねっとりした食感が美味しい。
栗あんを丁寧に練り上げる工程が
栗ようかんづくりの要。

店舗情報

桜井甘精堂(さくらいかんせいどう)
小布施の観光スポットが集中するエリアに、桜井甘精堂の本店がある。この本店の真ん前には、軽食が食べられる「泉石亭(せんせきてい)」、ななめ前には桜井甘精堂の甘味とお茶が楽しめる「カフェ茶蔵」、小布施名物の栗おこわが食べられる「北斎亭」、さらに紅茶とケーキの専門店「栗の木テラス」が同エリアに点在。小布施町を観光しながら、ランチや休憩スポットとして利用したい。

MAP

〒381-0201長野県上高井郡小布施町小布施774
電話番号:026-247-1088
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