中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

地元の銘菓を生み出した和菓子店
大黒屋製菓舗・長野県飯山市

February 16. 2023(Thu.)

冬の新商品開発が、ヒット作につながった

1975年ごろのこと。大黒屋では和菓子屋が作るクリスマスケーキが人気だったそうです。クリスマスが近づけばスポンジケーキを焼いていたため、そのスポンジケーキを使って新しい商品を作ろう!ということになり、飯山市にやって来たスキーヤーたちが片手で食べられることをイメージしてお菓子を開発。かつての流行歌“バナナボート”にちなんで、ボート型のバナナケーキを「ばななぼーと」として売り出したのです。

すると瞬く間に人気商品となり、今では飯山市の冬の風物詩となるまでに。そこで飯山市では、和菓子店だけでなく洋菓子店も含め、飯山市をあげて大黒屋発のこのお菓子を冬の名産にしようという活動が始まりました。今では合計8店舗が参加し、それぞれの店舗ごとに工夫を加えた“バナナボート”が販売されています。大黒屋の商品は元祖として、また和菓子屋としてのスタンスから、ひらがなの「ばななぼーと」が商品名です。

「ボートみたいな形にしてさ、これなら片手で食べられていいでしょう?浜村美智子さんのバナナボートっていう歌が流行ったことを思い出して。その名前いいじゃない!って」と、当時のことを懐かしそうに話してくださいました。

スキーヤーがたちが片手で食べられるように、と開発された。
3代目ご主人の佐藤信一さんは、お菓子に向かうと背筋がピンと伸びていました。
ご夫婦とともにお店を切り盛りするのは、お嫁さんの佐藤恵美さん。
どら焼きの皮を焼くところ。正円に形づくられてゆく所作がとても美しい。
この日の「ばななぼーと」が店頭に並んだは午前8:30頃でした。

【店舗おすすめ】
「福最中」

年間を通して人気がある「福最中」は、全国菓子博栄誉金賞を受賞した銘菓。100年以上続く同店で、創業当時から作られているロングラン商品です。日持ちが約1週間ということもあり、飯山のお土産として購入する人が多いのだそう。最中をざっくりと割ると、中にはぎっしりとあんが詰まっていて、甘さとともに塩味もしっかり感じるパンチの強いあんでした。

「その甘じょっぱさが人気でね。お客さまによっては塩最中という人がいるんですよ」とパッケージを包みながら話してくれるおかあさん。「私はお菓子は作れないのよ。作るのはお父さん。私は包むだけ。60年間、これしかやっていないの」と言うと、それを優しそうに見つめるご主人。クスクス笑うお嫁さん。なんとも暖かい空気が流れるお店でした。

ひとつひとつ丁寧にラッピングするのは、おかあさんのお役目だそう。
サクッとした皮を割ると、自慢のあんがぎっしりと詰まっています。

店舗情報

大黒屋製菓舗
「バナナボート」の元祖のお店として、また生菓子の美味しいお店として、地元の人々から愛されている。春の桜餅や草餅、花見団子、初夏になると柏餅、地元名産の蕎麦のつなぎに使われる山菜「オヤマボクチ」の若葉を使ったオリジナルの草餅、わらび餅に水ようかん、大福。飯山の四季を映すお菓子が季節ごとに作られている。

MAP

長野県飯山市福寿町1149
電話番号:0269-62-2402
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