中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

創業200年をゆうに超える老舗和菓子店
金蝶園総本家・岐阜県大垣市

March 02. 2023(Thu.)

水の都の良質な水で炊き上げたあんの美味しさが評判に

「金蝶園総本家」は、江戸時代末期の1798年(寛政10年)に創業した老舗和菓子店で、現社長で8代目を数えます。初代は大垣市の西で駄菓子屋を始め、2代目が京都の和菓子店に修行に出て酒饅頭を覚えて帰ってきて、饅頭として売るようになりました。「水の都」と呼ばれる大垣の良質な水を使って炊き上げる小豆あんの美味しさが、どんどん評判となっていきます。大垣藩のお殿様に献上した時に、金の蝶のかんざしをいただいたことから、それまでの屋号の「枡屋」を返上して、店名に金蝶園を使うようになったのだとか。

明治になり鉄道が走り始めると、店舗を大垣駅前のメインストリートに構え、「金蝶園饅頭」はいつしか大垣市を代表する銘菓となっていきました。今でも店内には、いろいろなご縁で制作した金蝶園の看板が多くあり、お店の古い歴史を昔から知る人から、昔話を教えていただくこともあるのだとか。大垣市のまちと人に愛されて歴史を重ねた和菓子店ならではのエピソードです。

創業時から変わらぬ製法の代表銘菓「金蝶園饅頭」は、大垣のお菓子の代名詞的な存在。
季節の上生菓子は5〜6種類ほど店頭に並んでいる。
使い込まれた和菓子の道具たち。

【店舗おすすめ】
「水都みるく」

ひと口サイズで食べやすく、洋菓子の要素が入った焼き菓子「水都みるく」は、日持ちすることもあり、人気の定番商品。皮は牛乳とバターをたっぷり使っており、中のあんは、白あんベースでこちらにも牛乳とバター、練乳や生クリームなどが練り込まれています。

焼き菓子なのですが、しっとりとして、みずみずしいミルクの風味を感じます。この独特のしっとり感は、水の都・大垣の良水で仕込まれているからかもしれません。そして皮はギリギリまで薄く仕上げてあり、中のあんのしっとりした水分が移っていないことに不思議に思うほど。これもきっと和菓子職人の技術の粋なのでしょう。

洋菓子風の和菓子も多く作られており、実験工房さながらの風景も。
お菓子の材料の棚を見ているだけで、いろいろな想像がふくらむ。

店舗情報

金蝶園総本家
JR大垣駅前に構える老舗。「金蝶園饅頭」のお店として知られ、大垣銘菓を求めに来るお客さまでいつもにぎわっている。堂々とした店舗の構えからも歴史を感じるが、店内にはいわれのある看板などが多数。和菓子だけでなく洋菓子にも力を入れており、季節ごとに幅広い商品が揃っている。

MAP

〒503-0901岐阜県大垣市高屋町1-17
電話番号:0584-75-3300
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