高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介
「伝統の続き」をデザインする。
全国から注目される、次世代せんべい
日の出屋製菓・
三重県三重郡菰野(こもの)町
December 25. 2024(Wed.)
戦後生まれのせんべいに
新たな輝きを
現社長である千種啓資(ちくさひろし)さんの祖父が、手焼きの炭酸せんべいをつくり始めたのは戦後まもなくのこと。日の出屋製菓として、現在の地で正式に創業したのは1957年でした。
1959年に御在所岳のロープウェイが開通し、その5年後には長島温泉が開業。三重県の東部に観光名所が次々にオープンしたことで「湯の花せんべい」は観光客の土産品として、大ヒットします。ピンク色が印象的な缶のデザインは、創業当時からのもので、そのかわいらしさからも、土産品としても注目を集めました。
千種さんが代表取締役に就任したのは2020年、折しもコロナ禍でステイホームが叫ばれていた時でした。
そんな中、千種さんは「たとえ旅ができなくても、お客さまが自宅で楽しめるおやつをつくっていこう」という思いのもと、「湯の花せんべい」を進化させる企画を次々に打ち出し、形にしていきます。
京都のパティシエと協働で開発した洋風菓子や、自社ブランドである「tabino ondo」シリーズの展開などがそれにあたります。
それまでは三重県を中心に観光地で販売されていた商品を、全国のセレクトショップや百貨店などに置いてもらうことで、「湯の花せんべい」の可能性を一気に広めることができたのだそうです。
【店舗おすすめ】
「酒粕と柚子の
バターサンド」
「湯の花せんべい」の耳の部分は、どうしても端材になってしまうそう。それを再利用できないかと開発された商品が「酒粕と柚子のバターサンド」です。
端材を細かくしてプレスすることで、独特のシャリ感のあるクッキー生地を生成。そこに、三重県の銘酒である「三重の寒梅」の酒粕をジャムにしてサンドしています。
バタークリームには三重県産の柚子のピールを蜜漬けにしたものを加えているので、さわやかな後味が印象的な洋菓子です。
京都のパティシエ協力のもとに開発した新感覚のスイーツで、冷凍販売をおこなっているため、お取り寄せしやすく、ギフトなどにも重宝します。
店舗情報
- 日の出屋製菓
- 店舗と工場が併設したSENBEI FACTORY SHOPが2024年4月にオープン。ガラス越しに工場見学も可能。焼きたてのまだやわらかい状態の湯の花せんべいをいただくことができるのはここだけ。