中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

「美恵夢 (びえむ)」
静岡菓子処 蔵好三坂屋(くらよしみさかや)・静岡市

May 07. 2025(Wed.)

ビスケット生地の皮と
甘い香りが印象的な焼き菓子

静岡を代表する銘菓「美恵夢」。もとは、静岡市内にあった和菓子屋「喜久屋」が1960年から販売していたお菓子です。
1999年、喜久屋は後継者がおらず、惜しまれつつも閉店することに。そんななか、「美恵夢だけはなんとか残してほしい」と、お客さまから熱烈な声が寄せられ、当時、静岡菓子工業組合の会長をしていた蔵好三坂屋の社長が引き受けることになりました。
喜久屋の閉店後間を空けず、製造機械、材料、職人、包装などすべて同じ条件で美恵夢の販売を開始。以来、蔵好三坂屋を代表する品として、今も変わらず同じ製法を守っています。

特徴は、ふんわりとしたバターの風味と黄身あんを包むビスケット生地の薄皮です。ギリギリの薄さにこだわった皮は、しっかり焼き目がついているので軽やかで香ばしく、ひと口噛めば、甘いバニラの香りが口の中に広がっていき、食べ終わった後も口の中にその豊潤さが残るほど。
「当初からずっと使い続けている無塩バターとバニラオイルが味の決め手」と、2代目・望月正明さんの妻である三津子さんは語ります。
生産工程で気をつかうのは、焼く温度です。職人がつきっきりでオーブンの前に立ち、薄皮の焼き具合と、バターとバニラがほどよく香る加減を見極めます。それはまさに職人の技。
さらに、生地とあんが馴染んだものを召し上がっていただきたいという思いから、焼き上がってからまる1日休ませ店頭に出すというこだわりです。

黄身あんは、フレッシュバターと卵、
バニラオイルでしっかり練られる。
黄身あんをビスケット生地で包んでいく。
軽くプレスして、厚さを均等に整える。
オーブンで約6分半、
慎重にチェックしながら焼き上げる。
右が「美恵夢」、左が小さいサイズの「こびえむ」

店舗情報

静岡菓子処 蔵好三坂屋(くらよしみさかや) 北店
工場と直結した北店。蔵好三坂屋のすべての菓子をここで生産しており、工場直結ならではの豊富なラインアップが魅力。洋菓子もあり、タイミングが良いと、カステラやケーキの切り落としが販売されていることも。店舗は他に静岡市葵区の本店や静岡駅のパルシェ店もある。

Instagram
https://www.instagram.com/kurayoshimisakaya/?hl=ja

MAP

〒420-0961静岡県静岡市葵区北2丁目17-23
電話番号:054-246-1135
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