おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

まず揃えたい
編み物道具と糸選び
(2時間目)

November 19. 2025(Wed.)

1時間目では、作品づくりにとどまらない編み物の魅力と、材料の糸について紹介しました。
2時間目は、初めて編み物に挑戦する人向けに、道具や糸の選び方、基本となる編み方を、引き続き時田さんに教えてもらいます。

撮影協力/Re-TAiL(リテイル)
http://re-tail.jp/

ー1時間目の記事はこちら
心整う編み物を始めよう!(1時間目)

RRR MATERIAL PROJECT(アール・マテリアル・プロジェクト)スタッフ
時田ミリさん
手芸好きの祖母、母の影響で子どもの頃から手芸に関心を持ち、高校・大学では服飾を専門に学ぶ。アパレルメーカーでパタンナーを経験した後、愛知県一宮市の株式会社リテイルに就職し、サンプル・デッドストック素材を販売する「RRR MATERIAL PROJECT」のスタッフに。オリジナルのニットアイテムを制作する編み物作家としても活動中で、編み物に挑戦するきっかけや、編み物を通じた交流を育むニットカフェを主宰する。
http://rrr-material.jp/
https://www.instagram.com/rrr_material/

2時間目

道具・材料の選び方、基本の編み方を学ぼう

初心者が挑戦しやすい「かぎ針編み」。
必要な道具は?

よく知られる編み物の方法に、かぎ針編みと棒針編みがあります。このうち、初心者向けといえるのが、かぎ針編みです。かぎ針編みは、針の先端にあるかぎ(フック)に糸を引っかけて編む方法で、基本的な編み方をマスターすれば、大小さまざまなアイテムをつくることができます。

かぎ針編みに必要な道具は、かぎ針、糸の端を始末するためのとじ針、糸を切るハサミの3つ。どれも手芸店はもちろん、100円ショップでもそろえることができます。
かぎ針の材質には竹や金属、プラスチックなどがあり、私は程よく重くて糸のすべりが良い金属製のかぎ針を愛用しています。人によって重さやすべり具合の好みは異なるので、作品づくりを通していろいろな道具を試し、しっくりくるお気に入りを見つけてみましょう。

また、道具だけでなく、道具を収納するケースも、心がウキウキするものを使ってみてはいかがでしょうか。私が普段使っている道具やケースは、母から譲り受けたもので、デザインが素敵でお気に入りです。
かぎ針の長さは、だいたいボールペンと同じくらい。かぎ針もとじ針も先端は丸く尖っていないので、例えばお菓子の空き缶や、布製のペンケースなども収納ケースとして活用できます。お気に入りの道具とケースを見つけて愛用することで、編む時間がもっと楽しくなるはずです。

材料選びでは
糸の太さ、重さに注目

道具を揃えたら、次に糸を用意しましょう。
1時間目で、糸の多彩さについてお伝えしましたが、まずは毛足が短く、毛糸と聞いてイメージする「並太」と呼ばれる太めの糸が、初心者の方には扱いやすいと思います。もちろん、つくりたいものによって選ぶ糸は変わってきますが、ある程度の太さがあり編み目がわかりやすく、糸をすくいやすい並太で、練習も兼ねてチャレンジしてみてください。羊毛やコットンなど自然素材のものが、初心者の方におすすめです。
メーカーによっては、パッケージに「並太」と書かれており、また適したかぎ針のサイズも記載されているので、参考にしましょう。

並太の糸の場合、コースターなどの小物アイテムなら20グラム程度、ブランケットなど大きなものなら300グラム程度が必要です。
重さは同じでも、糸の太さや原料によって長さは異なりますので、パッケージの情報などを参考に選んでみましょう。

自分ひとりできちんとそろえられるか不安であれば、手芸店のスタッフさんに相談すると、つくりたいアイテムの完成イメージなどに合わせて、道具や材料の選び方、必要な糸の量などをアドバイスしてもらえますよ。

基本となる編み方は2種類

どんなものをつくるにも、まず覚えておきたい編み方が、「鎖編み」と「こま編み」です。
鎖編みは、編み物の土台となる編み方。写真上のように鎖状の編み目ができ、編み続けると、長いひも状になります。鎖編みを長く編んで、サコッシュのストラップなどにすることもできますよ。

ちなみに、編み物づくりでは「目」や「段」といった言葉を使います。「目」は編み目、「段」は編み目が並んだ横一列を指します。

鎖編みができたら、こま編みに挑戦!
鎖編みを1目つくって立ち上げ、鎖編みの編み目にかぎ針を入れて糸をすくって編み、鎖編みの目をすべて編めば、こま編みが1段完成します(写真下)。こま編みは段の幅が狭く、目がきっちり詰まった仕上がりになります。2段目の編み始めも、1段目と同様に鎖編みを1目つくって立ち上げるところから始めます。

詳しい編み方については、細かな説明が載った書籍や動画を参考にしてみてください。最近では手芸品メーカーやクリエイターが、つくり目のつくり方や、編み方の手順、押さえておきたいポイントなどを解説する動画を配信しています。実際にかぎ針を動かす様子を目にできてとてもわかりやすいので、活用してみましょう。

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